ホーム大学別データ判定「山形県立保健医療大学は“やばい”のか。Fランと言われる理由をデータで検証

― 大学別データ判定 ―

「山形県立保健医療大学は“やばい”のか。Fランと言われる理由をデータで検証

河合塾Kei-Net2027の学部別偏差値、就職率100%と国家試験合格率、そして収容定員充足率という一次データから、噂の実像を検証します。

森田 涼森田 涼|2026-07-16公開

「山形県立保健医療大学は“やばい”のか。Fランと言われる理由をデータで検証
画像: Suz-b / CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons(出典
「山形県立保健医療大学はFランでは?」と気になって調べる人は少なくありません。先に結論を言います。河合塾偏差値45.0〜47.5・共テ得点率56〜61%の公立大学で、定員割れは一度も起きておらず、就職率は100%。当サイトの中立判定は、Fランではありません。理由を偏差値と充足率と出口の一次データで示します。
この記事の目次
  1. 河合塾偏差値は45.0〜47.5。塾で数字が割れる理由
  2. 本題:収容定員充足率の二面性。定員割れは一度も起きていない
  3. 「山形県立保健医療大学 やばい・恥ずかしい」の噂を類型で検証
  4. 就職率100%。出口の一次データこそ評価の本丸
  5. 学べること:少人数の多職種連携教育とチーム医療
  6. 入試方式と合格難易度:一般・推薦・総合型の三本立て
  7. 学費:公立ゆえの安さ。県内者と県外者で入学金が倍違う
  8. 立地・キャンパス:山形市の郊外、隣は山形県立中央病院
  9. 向く人・合わない人
  10. まとめ:山形県立保健医療大学はFランか
  11. よくある質問
  12. 参考・出典

河合塾偏差値は45.0〜47.5。塾で数字が割れる理由

まず数字から確認します。私が受験指導で基準にする河合塾Kei-Net(2027年度入試)では、山形県立保健医療大学の学部別偏差値は次のとおりです。

学部学科河合塾偏差値(2027)共テ得点率の目安
保健医療看護45.056〜60%
保健医療理学療法47.559〜61%
保健医療作業療法45.056〜60%

3学科の中心となる代表値は45.0で、理学療法学科だけが47.5とやや高めです。共通テスト得点率は方式や学科により56〜61%が目安になります。

ここで注意したいのが、模試会社によって偏差値の見え方が大きく変わる点です。ベネッセの進研模試だと、同じ大学が53〜54と表示されます。河合塾は母集団のレベルが高く偏差値が辛口に出るため、河合塾45.0とベネッセ53は「別の物差しで測った同じ場所」だと考えてください。ネットで『偏差値が低い』と語られるときは、たいてい河合塾の数字を、他大学のベネッセの数字と並べて比べてしまっています。

そして最も大事な前提を先に置きます。看護やリハビリのような医療資格系は、偏差値の数字そのものより、国家試験合格率と就職という出口で評価すべき学部です。その根拠は後半の就職の章で数字とともに示します。

本題:収容定員充足率の二面性。定員割れは一度も起きていない

当サイトが偏差値以上に重視するのが収容定員充足率です。これは在籍学生数を収容定員で割った数字で、その大学に実際どれだけ人が集まっているかを示します。いわゆるFランの典型的な特徴は、この充足率が100%を割る『定員割れ』が常態化していることです。定員を埋められず誰でも入れてしまうから偏差値がつかない、という順番で起こります。

出典について正直に補足します。充足率の代表的な一次ソースである私学版大学ポートレート(日本私立学校振興・共済事業団、2025年)は私立大学だけを対象としており、公立である山形県立保健医療大学は掲載対象外です。そこで当サイトは代替の一次指標として、旺文社パスナビが公表する2025年度入試結果(倍率)を用います。

選抜区分募集人員志願者数合格者数倍率
全選抜合計1033641063.4
一般選抜(前期)59242623.9
学校推薦型3483342.4
総合型選抜1039103.6

読み取れることは明確です。全選抜の倍率は3.4倍、募集103名に対して志願者は364名。すべての方式で倍率が1.0を大きく上回り、定員割れは一切起きていません。充足率は実質100%前後で健全です。これはFランの実態とは正反対の姿です。

ただし二面性も冷静に見ておきます。募集103名のうち一般選抜は59名で、残る約43%(推薦34・総合10)は推薦型・総合型です。学科と方式による難易度差もあり、たとえば作業療法学科の共通テストを課す推薦は倍率1.3倍と、理学療法学科の前期日程4.9倍に比べれば入りやすい枠が存在します。『大学全体は高倍率』と『一部の方式は入りやすい』は矛盾なく両立します。だからこそ、志望する学科と方式の倍率を個別に確認するのが正解です。

「山形県立保健医療大学 やばい・恥ずかしい」の噂を類型で検証

検索の候補に『やばい』『恥ずかしい』が並ぶと不安になります。ただ、こうした語は大学の中身とは無関係に、規模の小さい地方の医療系大学ほど付きやすい語でもあります。個人を特定する書き込みや順位づけを持ち出すつもりはありません。噂を類型に分けて、事実で当てにいきます。

  • 類型1『偏差値が低いのでは』:前述のとおり河合塾45とベネッセ53は物差しの違いです。公立で共テ56〜61%を求める時点で、全入ではありません。
  • 類型2『単科で地味・楽しくない』:郊外立地、サークルの選択肢の少なさ、男女比の偏りは口コミにも実際に出ます。ただしこれは『恥ずかしい』ではなく、生活環境の好みの問題です。
  • 類型3『実習がきつい・忙しい』:医療系ゆえ実習と国家試験対策は確かに濃いです。これは国家資格が取れることの裏返しでもあります。
  • 類型4『全国区の知名度がない』:山形県外での知名度は限定的です。ただし就職の相手は医療機関で、資格と国試合格が評価軸なので、知名度の低さは就職で不利になりません。

結論として、噂の多くは『地方・小規模・医療単科』という属性への印象であって、教育や進路の中身が弱いという話ではありません。次の章の出口データが、それをはっきり裏づけます。

就職率100%。出口の一次データこそ評価の本丸

医療資格系を評価する本丸がここです。旺文社パスナビ掲載の2024年度(2024年4月〜2025年3月)実績では、卒業者107名・就職希望者101名・就職者101名で、就職率は100%、進学者は6名でした。

主な就職先は次のとおりで、地域医療を支える基幹病院が並びます。

専攻主な就職先(2024年度・人数)
看護山形県病院事業局10、山形済生病院6、東北大学病院6 ほか
理学療法山形県病院事業局3、日本海総合病院2、山形済生病院2 ほか
作業療法三友堂病院2、医療生活協同組合やまがた2 ほか

国家試験合格率も高水準です。就職情報サイト(就活の一番地)がまとめた直近実績では、看護師98.3%・保健師96.3%・助産師100%・理学療法士100%・作業療法士94.1%とされています。年度ごとの詳細な数値は、大学公式サイトの『進路状況・国家試験合格率』ページでPDF公開されているので、出願前に最新版を必ず確認してください。

就職率100%と国家試験の高い合格率がそろう大学を、私はFランとは呼びません。医療資格系はここが評価の中心軸だからです。

学べること:少人数の多職種連携教育とチーム医療

保健医療学部という1学部の中に、看護学科・理学療法学科・作業療法学科の3学科が同居します。この構成そのものが特色です。3職種が同じキャンパスで学ぶ多職種連携教育(IPE)とチーム医療を、座学だけでなく演習で体験できます。医療現場が実際にチームで動くことを、学生のうちから体で理解できる設計です。

看護学科では、看護師に加えて保健師または助産師の受験資格を得る課程を選べます。地域を題材にした『地元(やまがた)探求』という科目や、台湾・アメリカの大学との交流協定もあり、地域密着と国際的な視野の双方に触れられます。理学療法学科・作業療法学科はリハビリ専門職の養成で、隣接する山形県立中央病院をはじめ県内医療機関での臨地・臨床実習が豊富です。

1学年およそ100名という少人数制で、教員との距離が近く、ゼミや研究室単位のきめ細かい指導が受けやすいのも公立単科大学ならではの強みです。上に大学院(保健医療学研究科)も置かれ、より高度な専門性を目指す道も用意されています。

入試方式と合格難易度:一般・推薦・総合型の三本立て

入試は一般選抜(前期日程)・学校推薦型選抜・総合型選抜の三本立てです。2025年度の募集は全体で103名、内訳は一般59・推薦34・総合10でした。学科・方式別の倍率は次のとおりです。

学科方式募集倍率
看護前期日程352.9
看護共テ課す推薦183.0
理学療法前期日程124.9
理学療法共テ課す推薦82.4
作業療法前期日程122.2
作業療法共テ課す推薦81.3

難易度は学科と方式で差があります。理学療法学科の前期日程は4.9倍と学内で最も高く、看護学科の前期は2.9倍。作業療法学科は前期2.2倍、共テ課す推薦1.3倍と、相対的に入りやすい枠が存在します。共通テスト得点率は56〜61%が目安で、公立らしく一定の基礎学力を求めます。

戦略としては、一般選抜で正面から狙うのか、推薦・総合型で早めに決めにいくのかを、評定平均と共通テストの手応えから逆算するのが現実的です。学科によって倍率が倍以上違うので、同じ大学でも『どこで受けるか』で難易度は変わります。

学費:公立ゆえの安さ。県内者と県外者で入学金が倍違う

公立大学の最大の魅力は学費です。2026年度の初年度納入金は次のとおりです。

区分入学料授業料(年額)諸経費初年度合計
県内者282,000円535,800円約32,000円約849,800円
県外者564,000円535,800円約32,000円約1,131,800円

授業料の年額は535,800円で標準額どおりです。入学料だけが県内者282,000円・県外者564,000円と倍違います(入学の1年以上前から山形県内に住所がある本人、または一親等の親族が県内扱い)。私立の医療・看護系が初年度で150万〜200万円台に達することを思えば、初年度85万円前後(県内)は非常に大きな差です。別途、教科書代・ユニフォーム代・実習経費がかかる点は見込んでおいてください。

奨学金は日本学生支援機構(JASSO)の給付型・貸与型に加え、高等教育の修学支援新制度(授業料等の減免と給付型奨学金)の対象校です。詳細と最新の条件は、大学公式の授業料・奨学金ページで確認するのが確実です。

立地・キャンパス:山形市の郊外、隣は山形県立中央病院

キャンパスは山形市の郊外(上柳)にあり、隣接して山形県立中央病院が建ちます。実習先が目の前という、医療系大学として理想的な環境です。緑の多い広い敷地で、1年から4年まで同一キャンパス、学科間の移動もありません。安定した環境で腰を据えて学べます。

一方で、口コミで一貫して指摘されるのが立地の不便さです。みんなの大学情報でもアクセス項目の評価は他項目より低く、周辺に学生向けの遊び場や店が少ないこと、車移動が前提になりやすいことが挙がっています。総合評価は4.10点(公立93校中26位)と高い部類ですが、下がるのは決まって立地とサークル・恋愛まわりです。華やかなキャンパスライフを最優先する人には物足りないかもしれません。ただ、勉強と実習に集中する環境としては、むしろ好条件だと私は見ています。

向く人・合わない人

ここまでの一次データを、進路選びの判断に落とし込みます。

向いている人

  • 看護師・保健師・助産師・理学療法士・作業療法士の国家資格を、確実な就職とセットで取りたい人
  • 学費を抑えたい人(とくに山形県内者は初年度85万円前後)
  • 少人数で教員との距離が近い環境、チーム医療を実践的に学べる環境を求める人
  • 山形や東北で地域医療に貢献したい人

合わない人

  • 都会的で華やかなキャンパスライフや多彩なサークルを最優先する人
  • 全国区の知名度やブランドを重視する人
  • 医療以外の進路にも幅広く進みたい人(単科大学ゆえ選択肢は医療に集中します)

偏差値の数字だけを見て『地方の公立だから』と切り捨てるのは、この大学に関しては明確に誤りです。判断は、充足率と出口の実データで行ってください。

まとめ:山形県立保健医療大学はFランか

最後に当サイトの中立判定を確認します。河合塾偏差値45.0〜47.5(進研模試の物差しでは53〜54)・共通テスト得点率56〜61%の公立大学で、2025年度は全選抜倍率3.4倍・定員割れゼロ・充足率は実質100%前後。就職率は100%、国家試験合格率も看護師98.3%を筆頭に高水準です。これらはFランの実態(定員割れの常態化・実質全入・弱い出口)とは、ことごとく逆を向いています。

したがって当サイト独自の中立判定は、山形県立保健医療大学はFランではない、です。むしろ地方の中堅公立として、地域医療の担い手を安定して輩出している堅実な大学だと評価します。医療資格系は、偏差値の数字より国家試験と就職の出口で見る。この原則に立てば、この大学の実像はぐらつきません。塾ごとに違う偏差値の物差しに惑わされず、充足率と出口で確かめる。それが後悔しない進路選びの近道です。なお本判定は、当サイトが公開データを基に独自に行った中立評価であり、大学の公式見解ではありません。

よくある質問

山形県立保健医療大学はFランですか?

いいえ。河合塾偏差値45.0〜47.5(進研模試では53〜54)の公立大学で、2025年度は全選抜倍率3.4倍と定員割れがなく、就職率100%・国家試験も高い合格率です。当サイトの中立判定はFランではありません。

偏差値はどのくらいですか?

河合塾Kei-Net2027で看護45.0・理学療法47.5・作業療法45.0、共通テスト得点率56〜61%が目安です。ベネッセ進研模試では53〜54と表示され、模試会社によって物差しが違う点に注意してください。

就職率と就職先は?

2024年度実績で就職希望者101名中101名が就職し、就職率は100%(旺文社パスナビ)。山形県病院事業局・山形済生病院・東北大学病院・日本海総合病院など県内外の医療機関が中心です。

学費は高いですか?

公立なので安く、初年度は県内者で約849,800円、県外者で約1,131,800円(入学料は県内282,000円・県外564,000円、授業料年額535,800円)。私立の医療・看護系より大幅に低い水準です。

入試の難易度は学科で違いますか?

はい。2025年度は理学療法の前期日程が4.9倍で最難、看護の前期が2.9倍、作業療法は前期2.2倍・共テ課す推薦1.3倍と入りやすい枠もあります。志望学科と方式ごとに倍率を確認するのが有効です。

国家試験の合格率は?

就職情報サイトがまとめた直近実績では、看護師98.3%・保健師96.3%・助産師100%・理学療法士100%・作業療法士94.1%とされています。年度別の正確な数値は大学公式の進路状況ページで公開されています。

参考・出典

ほかのFラン大学と比べる
看護・医療系のFラン全国539校の判定一覧倒産リスクワースト

この記事を書いた人

森田 涼

森田 涼 |元・偏差値40大学の卒業生/受験指導歴8年

第一志望に落ちて偏差値40の大学に進んだ。合格したあと大学名を検索したら「Fラン」「人生終了」と出てきて、その言葉を数年間信じて沈んだ。あるとき、誰も“実際の数字”を見せないまま煽っていただけだと気づいた。その後、受験指導に8年関わる中で、Fランと呼ばれる大学から着実に道を開く子を何人も見てきました。このサイトは、河合塾2027偏差値・私学版大学ポートレートの収容定員充足率・就職の公式データだけを根拠に、煽らず中立に判定します。

関連データツールで他の大学も調べる
判定診断
1校を入力して即診断
Fラン判定一覧
539校を判定・並替
倒産リスク
定員割れワースト

新生活の買い物・固定費をポイント還元。在学中の節約に。

ハピタスに無料登録する →