― 大学別データ判定 ―
【偏差値が出ない】「多摩 Fラン」は本当か。多摩大学は本当にFランなのか、データで判定
河合塾Kei-Net2027で両学部BF、充足率103.6%。難易度の底と経営の健全さは別軸という一次データ検証

この記事の目次
多摩大学の偏差値は河合塾Kei-Net2027で両学部ボーダーフリー
最初に、当サイトが判定の土台にしている一次寄りの数字を置きます。私が基準にするのは河合塾のKei-Net入試難易予想(2027年度用)です。ここで多摩大学は、2つある学部のいずれもBF、つまりボーダーフリーと表示されています。BFとは、河合塾が合格ライン(ボーダー偏差値)を数値として算出できないことを意味します。不合格者が統計的に十分出ないため、難易度の数字そのものが引けない状態です。
| 学部 | 学科 | 河合塾Kei-Net偏差値(2027) |
|---|---|---|
| グローバルスタディーズ学部 | グローバルスタディーズ学科 | BF(ボーダーフリー) |
| 経営情報学部 | 経営情報学科・事業構想学科 | BF(ボーダーフリー) |
ネット上には多摩大学の偏差値を35.0、38.4、42.5などと記す記事が混在します。これらは参照した年度や調査会社が違うために生じる差で、どれも単純な間違いとは言い切れません。ただ、受験の現場で最も参照される河合塾の最新データでは、両学部そろってBFです。私は数字の出所と鮮度をそろえるため、この記事では河合塾Kei-Net2027を基準に統一します。
そのうえで、当サイト独自の中立判定を先に示します。これは入試の入りやすさだけを測る物差しです。
- 判定S=河合塾が難易度(ボーダー偏差値)を算出できない最下層。ボーダーフリー。いわゆる真性Fランの帯。
- 判定A=偏差値35前後で実質全入。誰でも受かるに近い、純Fランの帯。
多摩大学は両学部がBFのため、当サイトの判定はSです。繰り返しますが、これは入試難易度のみの中立判定で、教育内容や就職実績、学生の満足度を評価したものではありません。難易度が底であることと、大学として機能しているかどうかは、別の物差しで見る必要があります。その別の物差しが、次の章の収容定員充足率です。
ここが本題。収容定員充足率103.6%が示す二面性
偏差値がBFと聞くと、定員も埋まらず経営が傾いている大学、という連想が働きがちです。ところが多摩大学の数字はそうなっていません。私立学校振興・共済事業団が運営する大学ポートレート(私学版・2025年)で確認できる多摩大学の収容定員充足率は103.6%です。この一点が、他のどのサイトも本題に据えていない、当サイトだけの判定軸です。
収容定員充足率とは、大学が受け入れ可能な定員(収容定員)に対して、実際に在籍している学生が何パーセントいるかを示す数字です。100%で定員ちょうど、100%未満なら定員割れ、100%超なら定員を上回って在籍していることになります。多摩大学の103.6%は、定員割れどころか、わずかに定員を超えて学生が集まっている状態を意味します。
ここに、この大学の二面性があります。入試難易度の指標(偏差値)では最下層のBFでありながら、経営の健全性を映す指標(充足率)では定員を満たしている。難易度が低いことと、入学者が集まらないことは、必ずしもイコールではないということです。近年、地方や小規模の私立大学では充足率が80%台、70%台まで落ち込み、定員割れが常態化した大学が少なくありません。多摩大学はその線を超えて、100%を上回る側にいます。
検索上位の記事は、偏差値と就職率までは扱っても、この充足率にはほとんど触れていません。私がこの数字をあえて前面に出すのは、受験生や保護者が本当に警戒すべきなのは「難易度の低さ」そのものよりも、「定員割れによる経営不安(統廃合や学部改廃のリスク)」だからです。その一点で見れば、多摩大学は少なくとも現時点で人が集まり続けている大学だと、一次データが示しています。偏差値だけを見て格を決める議論が取りこぼしているのは、まさにこの経営の物差しです。
「多摩大学 やばい・恥ずかしい」の噂を類型で検証
検索窓に多摩大学と入れると、やばい、恥ずかしい、就職できない、といった語が並びます。私はこの手の言葉を逐語では引用しません。個人を名指しで傷つける書き込みを、そのまま拡散する意味がないからです。代わりに、噂を出所ごとに4つの類型へ丸めて、それぞれの妥当性を検証します。
- 偏差値型:偏差値がBFであることを根拠に格を下げる声。事実として難易度は底です。ただし前章のとおり、難易度と経営の健全性は別軸で、充足率は100%を超えています。
- 知名度型:大学名を知らない、地元でも認知が薄いという声。規模が小さく全国区の知名度が高くないのは事実です。ただし知名度と教育の質は必ずしも比例しません。
- SNS炎上型:過去に学生個人の不適切な投稿が拡散し、大学名まで悪く言われた経緯があります。これは個人の行為であり、大学の教育体制そのものへの評価とは切り分けて考えるべきものです。
- 就職不安型:就職できない、という断定。これは公式の進路データで直接反証できます(次章)。
噂の多くは、匿名の書き込みが繰り返し引用されるうちに、事実以上に濃い印象へ膨らんだものです。恥ずかしいかどうかは主観であり、私が数字で答えられる問いではありません。私が答えられるのは、難易度は底だが定員は埋まっており、就職は公式データで確認できる、という事実の部分だけです。印象と事実を分けて見れば、噂の輪郭はかなりはっきりします。
就職・進路は大学公式データで確認する
就職の話は、匿名の噂ではなく、大学が公表している数字と、河合塾が集計した数字の両方で見ます。ここが多摩大学を判断するうえで、最も実利に近い部分です。
まず大学公式(多摩大学キャリア支援)の就職決定率です。
- 経営情報学部:98.5%(2025年度卒業生、就職決定者268名/就職希望者272名)
- グローバルスタディーズ学部:96.2%(2025年度卒業生、就職決定者100名/就職希望者104名)
この90%台後半という数字は「就職希望者」を分母にしたものです。就職を希望した人のうち何%が決まったか、という見方で、進学者やそもそも就職しなかった人は含みません。ここを誤解したまま「ほぼ全員が就職できる」と読むと、実像を外します。そこで、分母を卒業者全体にした数字も並べます。河合塾Kei-Netによる2024年度卒業者の進路では、就職者の割合は経営情報学部で82.5%(卒業者314名)、グローバルスタディーズ学部で79.1%(卒業者134名)です。つまり卒業者ベースでは約8割が就職、という水準になります。
どちらも正しい数字で、見る分母が違うだけです。私は両方を並べるのが誠実だと考えます。就職希望者ベースなら9割台、卒業者ベースなら8割前後。これが多摩大学の就職の実像です。上位サイトの多くは前者だけを載せますが、進路を決めるなら後者も知っておくべきです。
主な就職先(大学公式・2025年度)も、規模の実感に直結します。経営情報学部では卸売業・小売業(22.4%)と情報通信業(22.0%)が最多で、NTTデータエマーズ、システナ、テクノプロ、ローソン、マルエツ、タマホーム、損害保険ジャパンなどが並びます。グローバルスタディーズ学部では卸売業・小売業(20.0%)、サービス業(19.0%)が中心で、ANA、AIRDO、ソラシドエア、ヨドバシカメラ、JINS、第一生命などが挙がっています。誰もが知る難関大向けの大手総合職が中心という構成ではありませんが、地に足のついた業種に散らばって就職している、というのが公式データの姿です。
背景には、1学年が約470人という小規模を活かした個別支援があります。キャリア支援の担当者とゼミ担当教員が学生一人ひとりに付く体制で、面談やエントリーシートの添削を手厚く回している点は、大規模大学にはない強みです。就職の数字は、難易度の低さと切り離して読む価値があります。
多摩大学で学べること。実学と少人数教育
多摩大学は「実学」を前面に出す大学で、2つの学部がそれぞれ別のキャンパスで、別の方向性の学びを提供します。偏差値では見えない中身は、ここに表れます。
経営情報学部(多摩キャンパス)は、経営情報学科と事業構想学科で構成され、経営とITを掛け合わせた学びが軸です。全教室にプレゼンテーション設備を備え、情報発信の実践を重視しています。簿記や情報系の資格取得支援も用意され、卒業後すぐに現場で使えるスキルを積む設計です。学科名の「事業構想」が示すとおり、既存の枠を学ぶだけでなく、事業をつくる側の発想を鍛える科目が置かれています。
グローバルスタディーズ学部(湘南キャンパス)は、語学と国際理解が中心です。外国人教員が多く在籍し、少人数で英語に触れる時間を多く取る環境をつくっています。留学プログラムや、海外留学向けの奨学金も整備されており、語学を武器にしたい学生に向いた学部です。
両学部に共通するのは、少人数のゼミを土台にした対話型の授業です。大教室で一方的に講義を聞くスタイルではなく、教員との距離が近い環境で、発表や議論を通じて力をつけていく。この面倒見の良さは、偏差値では測れない多摩大学の実質的な価値だと私は見ています。入りやすさと、入ってからの伸びしろは、分けて評価すべきものです。
入試方式と合格難易度。総合型・推薦・一般
BFという難易度が、入試の現場でどう表れるかを具体的に見ます。多摩大学の入試は大きく3系統です。
- 総合型選抜:面談または面接(約20分)と、志望理由書・調査書・小論文で総合評価します。グローバルスタディーズ学部にはコミュニケーション方式があり、面談で内定を得たあとに英語力の基礎チェック(会話・語彙・文法と50単語程度の英作文)を行う流れです。学力試験一発ではなく、意欲と対話で評価する枠が広いのが特徴です。
- 学校推薦型選抜:面接(約10分)と、志望理由書・調査書・口頭試問で判定します。指定校や公募の枠で、確実に進学先を押さえたい層の入口です。
- 一般選抜:個別学力試験、または大学入学共通テスト利用で、2科目受験が基本です(グローバルスタディーズ学部は英語必須)。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ期と総合問題A型・B型が設けられ、共通テスト利用方式もⅠ・Ⅱ・Ⅲ期で用意されています。
入試の設計自体も入りやすさに寄っています。2科目で受けられ、試験会場を選べ、2学部の併願は無料。給付型奨学金の枠もあります。BFとは、こうした間口の広さの結果として、ボーダーが統計的に引けない状態を指します。逆に言えば、基礎学力を固め、総合型や推薦で意欲を示せれば、合格そのもののハードルは高くありません。難易度が低いことを、進学先を確保する手段として使う設計になっている、と読むこともできます。
学費と奨学金。初年度と2年次以降
学費は学部で差があります。2025年度の参考額(初年度納入金)は次のとおりです。
| 学部 | 初年度納入金 | 2年次以降(年額) |
|---|---|---|
| 経営情報学部 | 約1,390,000円 | 約1,000,000円 |
| グローバルスタディーズ学部 | 約1,470,000円 | 約1,200,000円 |
経営情報学部の初年度は約139万円(入学金30万円+授業料70万円+施設費等39万円)、2年次以降は年約100万円です。グローバルスタディーズ学部は初年度約147万円、2年次以降は年約120万円で、こちらがやや高めです。文系私立大学として突出して高い水準ではありません。
奨学金は大学独自の制度が複数あります。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)以外の高校出身で成績優秀な学生に年額40万円を給付する多摩チャレンジ奨学金、入試成績上位者向けの特別給費生奨学金、在学中の成績優秀者奨学金、指定の海外留学者向けの海外留学奨学金などです。地方から進学する学生や、入試で上位に入れる学生にとっては、実質負担を下げられる余地があります。金額や条件は年度で変わるため、最新の募集要項での確認が前提です。
立地とキャンパス。多摩と湘南の2拠点
多摩大学は学部ごとにキャンパスが分かれています。ここは大学名から誤解されやすい点なので、正確に押さえます。
- 多摩キャンパス(東京都多摩市聖ヶ丘4-1-1):経営情報学部。大学の本部が置かれ、多摩ニュータウンの丘陵地にあります。
- 湘南キャンパス(神奈川県藤沢市):グローバルスタディーズ学部。名前は「多摩」でも、この学部の学びの拠点は神奈川県です。
したがって「多摩」という所在地イメージがそのまま当てはまるのは経営情報学部で、グローバルスタディーズ学部を志望する場合は通学先が神奈川県になる点に注意が必要です。どちらも1学年が数百人規模の小さなキャンパスで、施設は手入れが行き届いている一方、敷地は広大ではありません。大規模大学のにぎやかさよりも、顔が見える距離感を求める人に合う環境だと言えます。通学の負担を考えるうえでも、志望学部がどちらのキャンパスかは最初に確認すべき項目です。
多摩大学が向く人・合わない人
ここまでの数字を、進路選択の判断に落とし込みます。合う合わないは、偏差値ではなく、何を重く見るかで決まります。
向く人
- 少人数で面倒見の良い環境を求め、教員との距離の近さを重視する人
- 研究より実学、資格や就職に直結するスキルを積みたい人
- 総合型や推薦で、確実に進学先を確保したい人
- 手厚いキャリア支援を使い倒し、大手偏重ではなく幅広い業種で就職したい人
- 地方出身で、給付型奨学金を活用して首都圏に出たい人
合わない人
- 大学名のブランドや偏差値そのものを最優先する人
- 学歴フィルターのある大手総合職を第一志望に据える人(不可能ではありませんが、不利は否めません)
- 大規模大学の設備・サークル・人脈の多さを重視する人
- 研究者や大学院進学を強く志向する人(進学率は各学部で1〜2%台にとどまります)
偏差値がBFであることは、この大学の一面にすぎません。難易度の低さを使える条件と捉え、少人数と就職支援を最大限に活かせる人にとっては、支払うコストに見合う選択になり得ます。逆に、名前の格を第一に置くなら、他の選択肢を並べて比較したほうがよいでしょう。
まとめ。多摩大学はFランか
多摩大学は、入試難易度の指標で見れば両学部BF、当サイトの中立判定ではSです。この意味では、いわゆるFランの帯に入ります。ここを曖昧にするつもりはありません。
一方で、収容定員充足率は103.6%で定員割れではなく、就職は公式データで就職希望者ベース9割台・卒業者ベース8割前後、少人数の個別支援という運営の実体があります。難易度が底であることと、大学として機能していないことは、同じではありません。この二面性を並べて見せることが、この記事の目的でした。
「多摩 Fラン」という言葉が指しているのは、偏差値というひとつの物差しの上での位置です。その物差しではSです。しかし進路を決めるなら、充足率・就職・学べる内容・費用・立地まで含めた複数の物差しで測るべきで、その全体像は本文のとおりです。数字を並べたうえで、どの物差しを重く見るかを決めるのは、読み手であるあなた自身です。私にできるのは、そのための材料を、出所つきで正確にそろえることだけです。
よくある質問
多摩大学の偏差値はいくつですか?
河合塾Kei-Net(2027年度用)では、経営情報学部・グローバルスタディーズ学部ともにBF(ボーダーフリー)です。BFは、合格ボーダーを統計的に算出できない状態を指します。ネット上には35.0や38.4などの数値もありますが、これは参照した年度や調査会社の違いによるもので、最新の河合塾データでは両学部そろってBFです。
多摩大学はFランですか?
入試難易度だけで見れば、両学部BFのため当サイトの中立判定はS(河合塾が難易度を出せない最下層)です。ただしこれは入りやすさのみを測る指標で、収容定員充足率103.6%や就職実績とは別の軸です。Fランという言葉が当たるかどうかは、偏差値・経営・就職のどの物差しを重く見るかで変わります。
多摩大学の就職率はどのくらいですか?
大学公式(2025年度卒業生)の就職決定率は経営情報学部98.5%、グローバルスタディーズ学部96.2%で、これは就職希望者を分母にした数字です。分母を卒業者全体にした河合塾Kei-Netの2024年度データでは、就職者は経営情報学部82.5%、グローバルスタディーズ学部79.1%です。希望者ベースで9割台、卒業者ベースで8割前後が実像です。
多摩大学と多摩美術大学は同じ大学ですか?
別の大学です。多摩大学は経営情報学部とグローバルスタディーズ学部を持つ大学で、多摩美術大学は美術系の大学です。偏差値も難易度も学べる内容も異なるため、混同しないよう注意してください。この記事で扱っているのは多摩大学です。
多摩大学の学費はいくらですか?
2025年度参考の初年度納入金は、経営情報学部が約139万円、グローバルスタディーズ学部が約147万円です。2年次以降は経営情報学部が年約100万円、グローバルスタディーズ学部が年約120万円です。年40万円を給付する多摩チャレンジ奨学金など、大学独自の奨学金制度も複数あります。
収容定員充足率とは何ですか。多摩大学の数字は?
大学が受け入れ可能な定員に対して、実際に在籍する学生が何パーセントいるかを示す指標です。100%未満だと定員割れです。多摩大学は私学版大学ポートレート(2025年)で103.6%と、定員を上回って学生が集まっています。偏差値の低さと経営の健全性は別の軸だと分かる数字です。