― 大学別データ判定 ―
札幌保健医療大学はFランで恥ずかしい?偏差値35・充足率80.5%の実像を暴く
河合塾の偏差値、収容定員充足率、そして就職率100%という出口。入口と出口を分けて中立に判定する

この記事の目次
河合塾の偏差値で見る札幌保健医療大学の位置
最初に、当サイトが判定の物差しにしている河合塾の偏差値から確認する。札幌保健医療大学は保健医療学部の一学部制で、看護学科と栄養学科の二学科を置く。河合塾Kei-Net2027時点の入試難易度は次のとおりだ。
| 学部 | 学科 | 河合塾偏差値 | 当サイト判定 |
|---|---|---|---|
| 保健医療学部 | 看護学科 | 35.0 | A(実質全入) |
| 保健医療学部 | 栄養学科 | BF | BF帯 |
出典:河合塾Kei-Net2027。当サイトは偏差値帯を二段階で中立に区分している。BFは河合塾が難易度を数値化できない最下層で、いわゆる真性のFラン帯を指す。実質全入は偏差値35前後で、対策すれば誰でも受かるに近い純Fラン帯を指す。この物差しで見ると、看護学科は35.0で実質全入(A)、栄養学科はBFに位置する。
注意したいのは、偏差値は媒体と年度で数字が割れる点だ。旺文社パスナビでは保健医療学部をBF表記とし、模試の母体が違う別媒体では看護学科を40台と示すこともある。当サイトは基準を一つに固定するため、河合塾Kei-Net2027の数値で統一して判定している。数字だけを切り取れば、偏差値上はFランの範囲に入る大学だと言ってよい。
ただし、偏差値は入口の難易度でしかない。医療系の資格養成校は、入口の数字より出口(就職と国家試験)の数字で評価が分かれる。次章から、その出口と、もう一つの一次データを重ねて、この大学の実像を立体的に見ていく。
ここが本題、収容定員充足率80.5%が示す二つの顔
偏差値の低さは多くの競合サイトも書いている。当サイトが独自に重ねるのは、収容定員充足率という一次データだ。収容定員充足率とは、大学が国に届け出た定員に対して実際に何割の学生が在籍しているかを示す割合で、私学版大学ポートレート(日本私立学校振興・共済事業団)2025で公表されている。札幌保健医療大学の値は80.5%。つまり定員の約二割が埋まっていない、定員割れの状態だ。
この80.5%は、二つの顔を持つ。
一つ目の顔は、入りやすさだ。定員割れは、河合塾がBF(ボーダーフリー)判定を出す土壌そのものである。応募が定員に届かなければ、大学は幅広く合格を出さざるを得ない。看護学科の偏差値35.0、栄養学科のBFという入口の数字は、この充足率と地続きになっている。実質全入という当サイトの判定は、偏差値だけでなく、この充足率にも裏打ちされている。
二つ目の顔は、その数字が全体平均だという点だ。80.5%は看護学科と栄養学科を合算した学部全体の値で、学科別の内訳は公表されていない。ここで効いてくるのが、後述する栄養学科の募集停止という事実だ。募集が細っている学科があれば、その学科が全体の充足率を押し下げている可能性がある。逆に言えば、看護学科単独の充足率は、この80.5%より高い可能性がある。学科別の数字は取れていないので断定はしないが、全体の80.5%をそのまま看護学科の実力と受け取るのは早計だ。
充足率は、偏差値のように受験産業が味付けした数字ではなく、事業団に提出された在籍実数から算出される。だからこそ、パンフレットの言葉より実態に近い。定員割れという事実は正面から受け止めつつ、それが学部全体の平均であること、そして出口の数字は別に評価すべきことを、次章以降で確かめる。
「やばい」「恥ずかしい」という噂を類型で検証する
検索欄には札幌保健医療大学と一緒に、やばい、恥ずかしい、といった言葉が並ぶ。私はこうした声を、逐語ではなく三つの類型に整理して検証する。個人の書き込みをそのまま並べても、感情が伝播するだけで判断材料にはならないからだ。
第一の類型は、偏差値が低いこと自体を恥ずかしいとする声だ。これは事実認識としては正しい。前述のとおり入口の偏差値はFラン帯にある。ただし、恥ずかしいかどうかは価値観の問題であって、大学の機能とは別の話だ。看護師や管理栄養士という国家資格を取るための養成校において、入口の偏差値がそのまま職業人としての実力を決めるわけではない。
第二の類型は、Fランだから就職できないという不安型だ。これは次章で数字を見れば反証できる。就職率と国家試験合格率は、偏差値の印象とは逆の顔をしている。
第三の類型は、漠然とやばいという評判型だ。口コミサイトの傾向を見ると、評価が割れているのは事実だが、その中身は偏差値や学力ではなく、通学の不便さに集中している。みんなの大学情報の項目別評価では、就職や面倒見のよさが相対的に高く、逆にアクセス立地が最も低い。つまり、やばいと言われる中身の多くは、学力ではなく立地の問題に寄っている。この点は立地の章で詳しく扱う。
噂を一つずつ数字に置き換えると、恥ずかしいの正体は偏差値、やばいの正体は立地に分解できる。学力ラベルへの反応と、通学環境への不満が、まとめてやばいという一語に押し込められているのが実態だ。噂の温度に飲まれず、中身を分けて見れば、恐れるほどの内実ではない。
就職と進路、大学公式データが示す出口の堅さ
ここからは入口ではなく出口の話だ。医療系養成校の価値は、資格を取って就職できるかにかかっている。大学公式の就職実績と、私学版大学ポートレートの数字を主軸に見る。
看護学科の就職率は、公式発表で2023年度から2025年度まで3年連続100%。就職者数は2025年度90名、2024年度100名、2023年度91名で、進学者(助産師課程や保健師課程など)も毎年数名いる。私学版大学ポートレートでも就職希望者数と就職者数が一致し、就職率100%が複数年続いている。就職先は北海道内の医療施設が約9割を占め、札幌市内では実習先となった病院への就職が多い。
| 年度 | 看護学科 就職率 | 栄養学科 就職率 |
|---|---|---|
| 2025年度 | 100% | 100% |
| 2024年度 | 100% | 97.5% |
| 2023年度 | 100% | 100% |
出典:札幌保健医療大学公式(就職実績)、私学版大学ポートレート2025。国家試験の数字も見る。看護師国家試験の合格率は、私学版大学ポートレートで2020年度98.9%、2021年度96.4%、2022年度96.0%。保健師国家試験は志望者ベースで100%が続いている。看護学科に関しては、入口の偏差値からは想像しにくいほど、出口の数字は安定して高い。
就職先の具体名も公表されている。看護学科では札幌市内の北海道大学病院、札幌医科大学附属病院、市立札幌病院、手稲渓仁会病院、KKR札幌医療センター、北海道がんセンターなど、道内では小樽掖済会病院、名寄市立総合病院、帯広厚生病院、釧路赤十字病院など、道外では横浜市立大学附属病院、三井記念病院、国立国際医療研究センター病院などへの就職実績がある。
一方で、栄養学科については正直に書いておく。栄養学科の就職率自体は高く、公式では2023年度100%、2024年度97.5%、2025年度100%。ただし管理栄養士の国家試験合格率は年度差が大きく、私学版大学ポートレートでは2020年度75.0%、2021年度66.7%、2022年度34.3%と、直近で大きく落ち込んだ年がある。管理栄養士は資格を取ってこその職種なので、この合格率の変動は栄養学科を検討するうえで見過ごせない数字だ。しかも栄養学科は募集停止が決まっている(学べること・入試の章で詳述)。就職の堅さは、主に看護学科の話だと理解しておくのが正確だ。
何を学べるか、学部と学科の特色
札幌保健医療大学は2013年に看護学部看護学科として開学し、2017年に栄養学科を加えて現在の保健医療学部の体制になった。運営は学校法人吉田学園。単科の医療系大学として、チーム医療を学べる環境を掲げている。
看護学科では、看護師国家試験の受験資格を卒業要件の履修で取得できる。加えて、選択制(20名)で保健師国家試験の受験資格、さらに保健師資格の取得を前提に養護教諭の免許取得への道もある。看護師に加えて保健師や養護教諭まで視野に入れられるのが、この学科を選ぶ動機として公式アンケートでもよく挙げられている。
栄養学科では、管理栄養士国家試験の受験資格に加え、栄養士免許、栄養教諭一種免許、食品衛生管理者などの資格課程が用意されている。調理実習室や実験室などの設備が整い、実践的に学べる点が口コミでも評価されている。ただし前述のとおり、学校法人吉田学園は栄養学科の2028年度以降の学生募集停止を決定した。決定後は、看護学科のみの一学部一学科の体制に戻る予定だ。これから入学を検討する場合、栄養学科は選択肢として実質的に閉じつつあることを前提にする必要がある。
教育の雰囲気としては、少人数で教員との距離が近く、質問しやすい環境という評価が口コミの傾向として見られる。医療系の国家資格を目標に、面倒見のよさで学生を押し上げるタイプの大学だと整理できる。研究室やゼミも少人数指導で、実習の機会を多く確保している点が、この大学の教育の骨格になっている。
入試方式と合格難易度、実質全入の中身
入試は、総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜が用意されている。難易度を具体的な数字で見ると、実質全入という判定の中身が見えてくる。
競合サイトが公開しているデータでは、看護学科の倍率が約2.2倍、栄養学科が約1.0倍。栄養学科の1.0倍は、志願者がほぼ定員どおりで、出願すれば通りやすい状態を意味する。合格最低点は、看護学科がおおむね300点満点中210点前後、栄養学科が200点満点中101点前後とされる。共通テストの得点率でみると、口コミサイトの集計では39%から45%程度の水準だ。
これらを重ねると、看護学科は倍率が2倍を超える分だけ栄養学科より競争があるが、それでも偏差値35.0の帯であり、基礎をきちんと固めれば十分射程に入る。栄養学科は倍率1.0倍のBF帯で、当サイトの区分でいう真性Fラン帯に当たる。ただし繰り返すが、栄養学科は2028年度以降の募集を停止するため、これから受験できる年度は限られる。
実質全入とは、学力で振り落とすための入試ではなく、志望と適性を確認するための入試に近いという意味だ。裏を返せば、入ってからの国家試験に向けた学習をどれだけ継続できるかが、この大学で結果を出せるかどうかの分かれ目になる。入口が広いぶん、出口で問われる大学だと考えたほうがいい。倍率や合格最低点は年度で動くので、受験する年は必ず最新の募集要項で確認してほしい。
学費と奨学金、医療系としての水準
学費は学科で差がある。JS日本の学校が掲載する2025年度の初年度納入金は、看護学科が190万円(入学金30万円+授業料160万円)、栄養学科が145万円(入学金30万円+授業料115万円)。施設設備費や実験実習費は授業料に含まれ、別途、教科書や実習用ユニフォーム、委託徴収費が必要とされる。
| 学科 | 初年度納入金(2025年度) | 内訳 |
|---|---|---|
| 看護学科 | 1,900,000円 | 入学金30万円+授業料160万円 |
| 栄養学科 | 1,450,000円 | 入学金30万円+授業料115万円 |
出典:JS日本の学校(2025年度納入金)。看護学科の初年度190万円という水準は、実習を多く抱える看護系私大としては特別に高いわけではなく、道内の同種大学と比べて標準的な範囲だ。奨学金は、本学独自の学業成績優秀者への給付奨学金(給付額5万円、返還義務なし)などが用意されている。また、みんなの大学情報などでは高等教育の修学支援新制度(いわゆる無償化)の対象校として扱われており、世帯収入の要件を満たせば授業料減免や給付型奨学金を併用できる。
費用を判断するときは、初年度だけでなく4年間の総額と、卒業後に得られる国家資格を並べて考えるのが現実的だ。看護師や管理栄養士は資格に基づく就職が前提の職種なので、就職率や国家試験合格率と学費をセットで見て、投資に見合うかを判断したい。学費や奨学金は年度で改定されるため、金額は必ず大学公式の最新情報で照合しておくこと。
立地とキャンパス環境
キャンパスは札幌市東区中沼西4条にある。公共交通では地下鉄東豊線の新道東駅などからバスを使い、平日は新道東駅からの無料通学バスも運行されている。
この立地が、口コミで評価を分ける最大の要因になっている。みんなの大学情報の項目別評価では、就職や面倒見が相対的に高い一方で、アクセス立地は各項目の中で最も低い水準にとどまる。バス通学が中心で、冬季の遅延などが不便として挙げられる傾向だ。前章までで見た、やばいという評判の中身が学力ではなく通学環境に寄っている、という指摘は、ここに根拠がある。
なお、一部の進学情報サイトには新キャンパスへの移転をうかがわせる記述も見られるが、北海道ボールパークFビレッジ(北広島市)へ2028年に全面移転するのは、同じ道内の別大学(北海道医療大学)であり、札幌保健医療大学の移転として公式に確認できる一次情報は取れなかった。ここでは確認できた範囲にとどめ、現在地である東区中沼西のキャンパスを前提に判断するのが安全だ。
通学環境を重視するなら、自宅からのバス便や冬季の所要時間を必ず自分で確認しておきたい。逆に、就職や国家試験対策という中身を優先するなら、立地の不便さは織り込んだうえで選ぶ価値がある大学だと言える。オープンキャンパスで実際の通学ルートを一度たどっておくと、判断が具体的になる。
向いている人と、合わない人
ここまでの数字を、進路選択の判断に落とし込む。
- 向いている人:看護師や保健師に確実になりたい人。看護学科は就職率100%が続き、国家試験合格率も安定して高い。道内、とくに札幌圏で医療職として働きたい人には、出口が近い。
- 向いている人:偏差値のブランドより、資格取得と就職実績で大学を選びたい人。面倒見のよさや少人数指導を重視する人にも合う。
- 向いている人:高等教育の修学支援新制度を使いつつ、道内の看護系で確実に資格を取りたい人。
- 合わない人:大学名や偏差値の高さをそのまま評価につなげたい人。入口の数字はFラン帯であり、その点は変わらない。
- 合わない人:通学の利便性を強く求める人。バス通学中心の立地は、口コミでも最大の弱点とされている。
- 合わない人:管理栄養士をこの大学で目指したい人。栄養学科は2028年度以降の募集停止が決まっており、管理栄養士国家試験の合格率にも年度差が大きい。栄養志望なら、募集を継続する道内の他大学も並行して検討すべきだ。
要するに、看護学科は入口の偏差値と出口の実績が大きく食い違う大学で、出口を重視する人ほど評価が上がる。栄養学科は募集停止という時限があるため、判断の前提が根本的に異なる。自分がどちらの学科を、どんな物差しで選ぶのかを、先に決めておくことが大切だ。
まとめ、札幌保健医療大学はFランなのか
結論を繰り返す。入口の数字で見れば、札幌保健医療大学はFランの範囲に入る。看護学科の河合塾偏差値は35.0で当サイト判定はA(実質全入)、栄養学科はBF。収容定員充足率は80.5%で定員割れが起きている。ここは事実として正面から受け止めるべきだ。
ただし、それは入口の顔にすぎない。出口を見ると、看護学科は就職率100%が3年続き、看護師国家試験の合格率も96%前後で安定している。就職先は道内の主要病院が並ぶ。偏差値というラベルと、資格養成校としての機能は、この大学では明確に別物だ。
一方で、栄養学科は2028年度以降の募集停止が決まり、管理栄養士国家試験の合格率にも年度差が大きい。この大学の出口の堅さは、主に看護学科の話だと理解しておく必要がある。
Fランかどうかというラベルで切り捨てるか、就職率と国家試験という出口で選ぶか。判断の物差しをどこに置くかで、この大学の見え方は正反対になる。数字を入口と出口に分けて並べたうえで、自分がどちらを重視するのかを決めてほしい。それが、この一校を正しく評価する唯一の方法だ。
よくある質問
札幌保健医療大学の偏差値はいくつですか。
河合塾Kei-Net2027で看護学科が35.0、栄養学科はBF(ボーダーフリー)です。旺文社パスナビはBF表記、別媒体は看護学科を40台とするなど、媒体や年度で表記は割れますが、当サイトは河合塾基準で統一して判定しています。
札幌保健医療大学はFランですか。
入口の偏差値で見ればFラン帯で、当サイトの中立判定は看護学科がA(実質全入)、栄養学科がBF帯です。ただし看護学科の就職率は100%が続いており、看護師国家試験の合格率も96%前後で安定しているため、出口の数字は入口の印象と大きく異なります。
就職はできますか。
看護学科は公式発表で2023年度から2025年度まで就職率100%、就職先は北海道内の医療施設が約9割です。北海道大学病院や札幌医科大学附属病院、市立札幌病院などへの就職実績があり、看護師国家試験の合格率も安定して高い水準です。
栄養学科はなくなるのですか。
学校法人吉田学園は2026年3月の理事会で、保健医療学部栄養学科の2028年度以降の学生募集停止を決定しました。以降は看護学科のみの一学部一学科の体制に戻る予定です。管理栄養士を目指す場合は、募集を継続する道内の他大学も並行して検討してください。
学費はいくらかかりますか。
JS日本の学校の2025年度情報で、初年度納入金は看護学科190万円、栄養学科145万円(いずれも入学金30万円を含む)です。本学独自の給付奨学金(5万円・返還義務なし)や、高等教育の修学支援新制度の対象になります。金額は年度で改定されるため最新の募集要項で確認してください。
入試の難易度はどのくらいですか。
公開データでは倍率が看護学科で約2.2倍、栄養学科で約1.0倍。合格最低点は看護が300点満点中210点前後、栄養が200点満点中101点前後とされ、共通テスト得点率は39〜45%程度です。基礎を固めれば射程に入る、実質全入に近い水準です。