― 大学別データ判定 ―
札幌学院大学はFランで恥ずかしい?偏差値40・充足率94.8%の実像を暴く
河合塾Kei-Net2027の学部学科別偏差値と、私学事業団が公開する収容定員充足率94.8%を並べ、大学公式の進路データを主軸に「実質全入」の実像を検証する

この記事の目次
河合塾の偏差値で見る札幌学院大学のレベル
まず数字から入ります。私が指導の現場で最初に確認するのは、予備校が実際の合否データから割り出した偏差値です。ここでは河合塾のKei-Net(2027年度入試予想)を基準に、学部学科別へ並べました。
| 学部 | 学科 | 偏差値 |
|---|---|---|
| 心理学部 | 臨床心理学科 | 40.0 |
| 人文学部 | 人間科学科 | 35.0 |
| 人文学部 | 英語英米文学科 | 35.0 |
| 人文学部 | こども発達学科 | 35.0 |
| 法学部 | 法律学科 | BF |
| 経済経営学部 | 経済学科 | 35.0 |
出典は河合塾Kei-Net(2027年度入試難易予想)です。最上位が心理学部臨床心理学科の40.0、人文学部の各学科と経済経営学部の経済学科が35.0で横並び、法学部法律学科はBF(ボーダーフリー)でした。BFとは、河合塾が合否データから偏差値の壁を引けない状態、つまり不合格者がほとんど出ないことを意味します。
この分布を当サイトは独自の中立判定として整理します。札幌学院大学は「A:実質全入」に位置づけます。偏差値35前後が主体で、誰でも受かるに近い、いわゆる純Fラン帯です。法律学科のBFは、河合塾が難易度そのものを出せない最下層(当サイトの記号でS:真性Fラン)にあたりますが、大学全体を一つの記号で塗るのは正確ではありません。心理は40.0、法律はBFと、学科によって温度差がある。ここを均さずに見るのが第一歩です。なお、これはあくまで当サイト独自の中立判定であり、大学の価値を否定するラベルではない点を先に断っておきます。
ここが本題。収容定員充足率94.8%が示す二面性
偏差値だけでは大学の実像は掴めません。当サイトが判定のもう一本の背骨に据えているのが「収容定員充足率」です。これは大学が国へ届け出た定員に対し、実際に何割の学生が在籍しているかを示す数字で、私立学校版の大学ポートレート(日本私立学校振興・共済事業団)が公開しています。札幌学院大学の充足率は94.8%(2025年)でした。この一次データは他の判定サイトがほぼ触れていない、当サイト独自の軸です。
94.8%には二つの顔があります。
- 経営と集客の顔。深刻な定員割れ(70から80%台)とは一線を画し、ほぼ定員どおりに学生を集められています。地域での存在感と、私大経営としての相対的な安定を示す数字です。
- 難易度の顔。100%を超えていない、つまり志願者が定員を大きく上回る奪い合いは起きていません。これは偏差値35前後や実質全入という評価と素直に整合します。
近年、地方私大の少なくない数が定員割れに直面しています。その中で94.8%という水準は、危険水域ではないが、選抜が強く効くほどの超過人気でもない、という中間に立ちます。言い換えれば「入りやすさ」と「潰れにくさ」が同居しているのが札幌学院大学の現在地です。偏差値の低さをネガティブに読むこともできますし、地域に一定の需要が根づいている証拠と読むこともできる。94.8%はその両方を同時に語っています。
「やばい・恥ずかしい」という声の正体を分解する
検索するとネガティブな言葉が並びます。私はこの種のレッテルを、感情ではなく発生源で切り分けます。札幌学院大学に貼られる悪評は、おおむね三つの類型に集約できます。
- 偏差値の数字が独り歩きする類型。BFや35という数字だけを取り出し、大学全体を低く塗る見方です。前章までで見たとおり、学科ごとに差があり、一律ではありません。
- 入りやすさを根拠に「誰でも入れる」とする類型。倍率が低い事実は本当ですが、それは選抜圧力が弱いという話であって、価値がないという結論には直結しません。
- 個別の出来事の報道がSNSで拡散し、大学名と結びつけられる類型。ここは一点だけ整理が要ります。
三つ目について。個人が起こした事柄の報道が大学名とともに拡散することはあります。しかしそれは在籍者個人の問題であり、教育内容や卒業生全体の評価に直結させるのは筋が違います。当サイトは具体的な事案の逐語再掲や、匿名の順位づけのような扇情的な表現は用いません。レッテルの温度をそのまま浴びる必要はない、というのが私の立場です。「恥ずかしい」という感覚も、突き詰めれば偏差値という記号への反応にすぎません。記号ではなく中身、すなわち就職・資格・学べることで判断する。当たり前ですが、ここへ戻すのが一番早い。
就職・進路。「就職できない」は事実に反する
最も誤解が多いのが就職です。結論から言えば「Fランだから就職できない」は事実に反します。大学が公表する進路データ(2024年度卒)をもとに就職率を算出すると、全体でおよそ93%でした。学部別は次のとおりです。
| 学部 | 就職希望者 | 就職者 | 就職率 |
|---|---|---|---|
| 心理学部 | 60 | 56 | 93.3% |
| 人文学部 | 159 | 152 | 95.6% |
| 法学部 | 108 | 100 | 92.6% |
| 経済経営学部 | 235 | 217 | 92.3% |
数字の出所は札幌学院大学公式の進路・就職データ、および旺文社パスナビ(卒業後の進路)です。四学部いずれも90%台を維持しており、この帯の私大として見劣りする水準ではありません。
就職先の顔ぶれも具体的です。大学公式が公開する主な進路には、次のような組織名が並びます。
- 公務員。北海道職員(一般行政・社会福祉・警察行政)、札幌市職員、北海道警察、東京消防庁、国家一般職(北海道開発局)、法務省の矯正心理専門職など。
- 教育関連。北海道教員が34名、札幌市教員が5名(いずれも人文学部)。教員採用に実績がある点は特色です。
- 民間。アインホールディングス、ニトリ、星野リゾート、イオン北海道、ラルズ、ネッツトヨタ札幌、ヨドバシカメラ、リコージャパン、伊藤忠食品、日本生命保険など。
傾向を一言でまとめると、北海道・札幌圏の公務員と地元大手に強い、地域密着型の進路構造です。全国区の学歴フィルター上位で戦う大学ではありませんが、道内就職を主戦場に据えるなら、支援体制も含めて十分に機能しています。
何が学べるか。4学部の特色
札幌学院大学は心理・人文・法・経済経営の4学部構成です。学べる中身を押さえておきます。
- 心理学部(臨床心理学科)。公認心理師や臨床心理士へつながるカリキュラムを備え、福祉・医療・教育の対人支援を学びます。偏差値上も学内で最上位(40.0)で、資格志向の学生が集まります。
- 人文学部(人間科学・英語英米文・こども発達)。人間科学は社会・歴史・情報などを横断的に、こども発達は小学校教諭一種や保育士、特別支援を、英語英米文は語学と英米文化を学びます。教員志望の受け皿として機能しています。
- 法学部(法律学科)。法律・行政の基礎を学び、公務員志望の学生が多く進みます。倍率が最も低い入口である一方、就職では公務員実績につながっています。
- 経済経営学部(経済・経営)。2021年に新札幌キャンパスへ開設され、地域経済やビジネス実務を学びます。学部規模が大きく、卒業者数・就職者数も最多です。
取得を目指せる資格には、学芸員(任用)、社会福祉主事(任用)、精神保健福祉士、社会福祉士、小学校教諭一種、特別支援学校教諭、保育士などがあります(出典:旺文社パスナビ)。心理・福祉・教育という対人支援系の資格に厚いのが、この大学の学びの重心です。
入試方式と合格難易度
入口は多様です。総合型選抜(リフレクション入試の面接重視型・自己PR重視型・探究重視型)、学校推薦型選抜(指定校・指定スポーツ・公募制の基礎学力/課外活動/体験技能重視)、一般選抜(一般・共通テスト利用)、成績優秀者の授業料が減免されるスカラシップ入試、社会人・帰国生・留学生の特別選抜が用意されています。
難易度を倍率で見ます。2025年度の学部総合倍率は、心理1.9倍・人文1.2倍・法1.2倍・経済経営1.5倍でした(出典:旺文社パスナビ入試結果)。方式別では推薦型が全学部で1.0倍前後と、出願要件を満たせばほぼ通る水準です。一方で経済経営の一般選抜は1.8倍、心理の一般選抜は2.5倍と、方式によっては競争が生じます。共通テスト利用の得点率はおおむね44から62%が目安です。
まとめると、選抜圧力は総じて弱く、多くの受験者が合格圏に入ります。ただし「受験勉強をゼロにしてよい」わけではありません。人気学科や一般選抜では相応の準備が要る、というのが現場を見てきた私の実感です。
学費と奨学金
初年度納入金は学部で微差があり、公表値(2026年度予定)で心理・人文が約117.0万円、法が約117.3万円、経済経営が約117.2万円です(出典:Benesseマナビジョン)。2年次以降はおおむね97万円前後で推移し、4年間の総額は400万円台前半が目安になります。北海道の私立文系としては標準的な水準で、突出して高くも安くもありません。
費用を下げる制度も整っています。入試成績上位者の授業料を減免するスカラシップ制度、公認クラブに所属する学生向けの特待、一人暮らし学生への生活支援などがあり、日本学生支援機構の奨学金や国の修学支援新制度との併用も可能です。学費の延納・分納制度も設けられています(出典:札幌学院大学公式・スタディサプリ進路)。年収要件や成績要件に当てはまるなら、実質負担はさらに下げられます。
立地とキャンパス
キャンパスは二つに分かれます。人文学部と法学部は江別キャンパス(北海道江別市文京台11)、心理学部と経済経営学部は新札幌キャンパス(札幌市厚別区厚別中央1条5丁目)です(出典:札幌学院大学公式)。
新札幌キャンパスはJRと地下鉄の新札幌駅至近で、通学の利便性が高いのが強みです。商業施設が集まるエリアでもあり、生活面でも便利です。江別キャンパスは文京台という落ち着いた文教地区にあり、学びに集中しやすい環境です。学部によって通うキャンパスが変わるので、志望学部がどちらの立地かは出願前に必ず確認しておきたいところです。
向く人・合わない人
ここまでのデータをふまえ、私なりに適性を整理します。
向く人は次のようなタイプです。
- 北海道・札幌圏で就職したい人。地元公務員・教員・地元大手への実績が武器になります。
- 心理・福祉・教育・法律など、対人支援や公務員系の進路を志す人。資格サポートと親身な指導が生きます。
- 面倒見のよさや資格取得支援を重視し、偏差値の記号より中身で選びたい人。
逆に、合わない人もはっきりしています。
- 全国区の学歴ブランドや、大手の学歴フィルター上位を最優先する人。
- 道外の大手や、より上位の私大を狙える学力がある人。実力に見合う進路を検討したほうがよい場合があります。
- 偏差値の数字そのものを何より重視する人。ここは価値観の問題なので、無理に説得はしません。
まとめ。札幌学院大学はFランか
当サイトの中立判定は「A:実質全入」です。河合塾偏差値は35前後が主体で、法律学科はBF。数字の上で入りやすいのは事実であり、その意味で純Fラン帯という評価は否定しません。ただし、それと「就職できない」「価値がない」は別の話です。2024年度卒の就職率は全体で約93%、地元公務員・教員・大手への実績もあり、就職面のレッテルは事実に反します。
そして忘れてはならないのが、収容定員充足率94.8%という一次データです。これは、難易度は低いが経営と地域基盤は相対的に安定している、という二面性を一つの数字で示しています。偏差値という記号だけで札幌学院大学を測ると、この底堅さを見落とします。最終的に問うべきは「Fランか否か」ではなく、地元就職・資格・学べる中身が自分の目的に合うかどうか。そこで判断すれば、ネットの温度に振り回されずに済みます。
よくある質問
札幌学院大学はFランですか。
当サイトの独自かつ中立の判定では「A:実質全入」です。河合塾Kei-Net(2027)の偏差値は35前後が主体で、法学部法律学科はBF(ボーダーフリー)。数字上は入りやすい純Fラン帯ですが、Fラン=就職できない、という意味ではありません。就職率は全体で約93%です。
誰でも入れる大学というのは本当ですか。
選抜圧力は弱めです。2025年度の推薦型選抜は全学部で倍率が1.0倍前後、学部総合倍率も心理1.9倍・人文1.2倍・法1.2倍・経済経営1.5倍でした(旺文社パスナビ)。ただし経済経営や心理の一般選抜は1.8から2.5倍で、方式によっては競争が生じます。出願要件と基礎学力は必要です。
札幌学院大学は就職できないというのは事実ですか。
事実に反します。大学公式の進路データ(2024年度卒)から算出した就職率は全体で約93%、学部別でも92から96%です。北海道職員・札幌市・北海道警察・東京消防庁などの公務員、北海道教員34名、アインホールディングスやニトリなど地元大手への実績があります。
学費はどのくらいかかりますか。
初年度納入金は公表値(2026年度予定)で約117万円前後、2年次以降はおおむね97万円前後で、4年間の総額は400万円台前半が目安です。北海道の私立文系としては標準的な水準です。スカラシップ制度や国の修学支援新制度で負担を下げられる場合があります。
心理学部と法学部では難易度が違いますか。
違います。河合塾偏差値では心理学部臨床心理学科が40.0で学内最上位、法学部法律学科はBFで最も入りやすい入口です。倍率でも心理の一般選抜が2.5倍に対し、法学部は総合1.2倍と差があります。志望学部で難易度は変わります。
恥ずかしい大学だと言われるのはなぜですか。
偏差値の数字や入りやすさ、個別の出来事の報道がSNSで独り歩きしたレッテルが主な原因です。いずれも大学の教育内容や卒業生全体の評価とは切り離して考えるべきものです。就職・資格・学べる中身という実利で見れば、評価は分かれます。