― 大学別データ判定 ―
【偏差値が出ない】日本映画大学は本当にFランなのか、データで判定
河合塾Kei-Net・私学事業団・大学公式の一次データで解剖。当サイトの中立判定はS:ボーダーフリー

この記事の目次
日本映画大学の偏差値はBF。河合塾が難易度を出せない層
最初に、いちばん問い合わせの多い偏差値から確認する。日本映画大学は映画学部映画学科のみの単科大学で、河合塾Kei-Net(2027年度入試用)およびパスナビ、スタディサプリ進路などが河合塾提供データとして掲載している映画学部の偏差値は、いずれもBF(ボーダーフリー)だ(出典:河合塾Kei-Net大学検索システム 日本映画大学、旺文社パスナビ)。
BFは「偏差値が低い」という意味に見られがちだが、正確には少し違う。河合塾の定義では、ボーダーラインとは合格可能性が50%に分かれると予想される偏差値を指す。不合格者が非常に少ない大学では、この50%ラインそのものが引けない。つまりBFは、河合塾が難易度の数字を設定できないほど、受ければほぼ受かる層にあるという状態を表す。数字が無いのではなく、数字を出せない最下層という理解が正しい。
| 学部 | 学科 | 偏差値(河合塾) | 当サイト判定 |
|---|---|---|---|
| 映画学部 | 映画学科 | BF(ボーダーフリー) | S:ボーダーフリー |
当サイトは河合塾の偏差値表記をもとに、独自の中立ラベルで大学を整理している。S:ボーダーフリー(河合塾が難易度を算出できない層、いわゆる真性のFラン帯)、A:実質全入(偏差値35前後で誰でも受かるに近い純Fラン帯)というように段階を置く。日本映画大学はこの基準でSに該当する。これは大学の教育内容や社会的価値を評価したものではなく、あくまで入試難易度の位置づけである点を明記しておく。
なお、媒体によっては進研模試(ベネッセ)基準で45前後と表示されることもある。模試の母集団や算出方法が違えば数字は変わる。本記事は受験界で最も参照される河合塾基準に統一し、映画学部はBFを前提に話を進める。
ここが本題。収容定員充足率90.0%が示す二つの顔
偏差値の話はここまでにして、当サイトがいちばん重視する一次データに入る。収容定員充足率だ。日本映画大学の大学基本情報(令和7年5月1日現在)および私学版大学ポートレート(私学事業団)2025によると、収容定員500名に対し在籍者数は450名、収容定員充足率は90.0%となっている。入学定員は125名、専任教員1人あたりの在籍学生数は18.8人だ(出典:日本映画大学 大学基本情報、私学版大学ポートレート 日本映画大学 学生情報)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 入学定員 | 125名 |
| 収容定員 | 500名 |
| 在籍者数 | 450名 |
| 収容定員充足率 | 90.0% |
| 専任教員1人あたり在籍学生数 | 18.8人 |
この90.0%という数字には、相反する二つの顔がある。
一つ目の顔は、経営体力が思ったほど弱くないという事実だ。偏差値BFの大学と聞くと、定員が半分も埋まらず経営が傾いている姿を想像しがちだ。実際、難易度最下層の大学には充足率50〜70%台まで落ち込む例が珍しくない。その中で日本映画大学の90.0%は、定員割れではあるものの相対的に踏みとどまっている水準といえる。単科という規模の小ささを考えれば、一定の需要を保っている。
二つ目の顔は、それでも100%は割れているという現実だ。充足率90.0%は裏を返せば定員の1割が空いているということで、少子化のなかで映画単科大学が置かれる構造的な厳しさを映している。ここで見落とせないのが留学生比率だ。公式データでは在籍450名のうち留学生が173名で、全体の約38%を占める。国内の18歳人口が減り続けるなかで、映画を学びたい海外からの志願者が充足率を下支えしている構造が読み取れる。留学生の動向次第で数字が動きやすいとも言える。
もう一段踏み込む。入学定員125名に対して、公式の在籍者数は1年次144名(令和7年5月1日現在)で、直近は定員を上回る学年もある。年ごとに入学者数の波はあるが、収容定員500に対して在籍450で90.0%という全体像は、募集が崩壊しているわけではないことを示している。偏差値BFという一点だけを見て「やばい」と判断するのは早い。かといって充足率90%を根拠に「安泰」と言い切るのも違う。踏みとどまっているが余裕はない、というのが数字の示す正確な立ち位置だ。この収容定員充足率という軸は、偏差値ランキングや口コミだけを並べる記事では出てこない、経営体力の温度計にあたる。
「やばい・恥ずかしい」の噂を、事実で切り分ける
日本映画大学の検索候補には「やばい」「恥ずかしい」「潰れる」「Fラン」といった言葉が並ぶ。ここでは個別の投稿や実名の書き込みをそのまま引くことはせず、噂を類型に分けて事実と照らす。
類型1は、偏差値BFイコール学力が低いイコール恥ずかしい、という反応だ。これは前半で触れたとおり、BFが「選抜の軸が学力ではない」ことに由来する。日本映画大学の入試は面接や小論文、映画鑑賞後の記述が中心で、一般的な学力試験で輪切りにする大学とは選抜構造が違う。音楽大学や美術大学の偏差値が測りにくいのと同じ理屈で、恥という感情は学力偏差値を唯一の物差しにしたときにだけ生じる。
類型2は、潰れるのではないかという経営不安だ。これも収容定員充足率90.0%、および国の高等教育の修学支援新制度の対象校(確認大学)であることを踏まえれば、即座に危機と決めつける根拠は薄い。ただし単科大学であること、少子化が続くことは正直にリスクとして残る。安泰でも危篤でもない、が公平な評価だ。
類型3は、実習がハードで途中で方向転換する学生がいるという声だ。チーム制作中心のカリキュラムは向き不向きがはっきり出るため、こうした指摘は複数の口コミや個人の体験談に見られる。ただし退学率や卒業率を断定できる公的な数値が取れないため、匿名の主張を数字として確定はしない。傾向として、協働と実習の負荷が合わない層が一定数いるという類型にとどめる。
噂は感情の産物で、判断は一次データの仕事だ。恥ずかしいかどうかは他人の物差しで決まるが、進学の是非は目的と数字で決めればいい。
就職・進路は大学公式データで見る(令和8年3月卒業生)
就職の話は、口コミではなく大学が公表した最新の進路データを主軸にする。日本映画大学の進路・就職実績(令和8年5月1日現在)によると、令和8(2026)年3月の卒業者は83名、就職希望者59名に対し就職者は47名、映画学部全体の就職率は80%だった(男性73%、女性91%)(出典:日本映画大学 進路・就職実績)。
| 項目 | 数値(令和8年3月卒) |
|---|---|
| 卒業者数 | 83名 |
| 就職希望者数 | 59名 |
| 就職者数 | 47名(うち自営業主等21名) |
| 就職率(映画学部全体) | 80% |
| 大学院・学部進学 | 2名 |
この大学の進路で最も特徴的なのは、就職者47名のうち自営業主等が21名、およそ45%を占める点だ。映画業界は撮影、照明、録音、編集といった職種でフリーランスが主流で、企業に正社員採用されるより、監督やメインスタッフの依頼で現場に入る働き方が一般的だ。残る就職者の多くは無期雇用で、業界の構造がそのまま数字に出ている。一般大学の就職率と単純に並べて高い低いを語るのは、土俵が違う比較になる。
主な就職先には、NHK、ソニーPCL、東映アニメーション、松竹映像センター、TOHOスタジオ、Production I.G、MAPPA、ぴえろ、テレビ東京、テレビマンユニオン、共同テレビジョン、博報堂プロダクツ、クリーク・アンド・リバー社など、映像制作会社や放送関連が並ぶ(公式は100社以上を掲載)。一方でスターバックスコーヒージャパンやアーバンリサーチ、佐川急便など業界外の企業名もあり、全員が映像職に進むわけではないこともうかがえる(出典:日本映画大学 進路・就職実績、河合塾Kei-Net 進学・就職実績)。
大学自身は業界就業力の高さを強みとして掲げている。教員の多くが現役のプロで、業界各所にネットワークを持つため、在学中からインターンや現場に入る学生も少なくない。新卒一括採用の外側で働く業界では、この「現場に足を踏み入れる」導線こそが就職の実態に近い。
正直に補足すると、公式データでは就職準備中が22名いる。新卒一括採用が少ない業界のため、卒業時点で進路が確定していない層が一定数出るのは想定内だが、この数字を見ずに就職率80%だけを都合よく切り取るのはフェアではない。就職の中身は、安定した企業就職を映画で得たい人と、フリーで現場に飛び込みたい人とで評価が正反対になる。
何が学べるか。日本で唯一の映画単科大学
日本映画大学は、映画学部映画学科だけで構成される、日本で唯一の映画単科大学だ。前身は、カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを二度受賞した今村昌平が1975年に創設した横浜放送映画専門学院で、日本映画学校を経て2011年に大学となった。45年以上にわたり、6,500人を超える卒業生を映画・映像業界に送り出してきた歴史がある(出典:日本映画大学 公式サイト、スタディサプリ進路)。
カリキュラムの特徴は、8週間を単位として演習と講義・ワークショップを交互に組む時間割にある。演習期間は「映画を作る」ことに没頭し、講義期間で理論と教養を積む。少人数教育で、現役の映画監督や脚本家、技師がマンツーマンに近い距離で指導する。学びの中心は演出、俳優、撮影照明、録音、編集、脚本、批評やプロデュースを扱う文芸、そして宣伝・配給まで、映画映像に関わる領域を横断する。2024年からは新たなコースも加わっている。
具体的に身につく職能を挙げると、脚本の書き方や演出、カメラと照明の設計、録音と整音、編集、そして製作費の管理やスケジュール調整、取材交渉といった現場のプロデュース実務まで幅が広い。配給・宣伝のように完成した映像を世に届ける仕事についても、国際映画祭に関わる教員から実践的に学べる。座学で映画史や理論を押さえつつ、手を動かして一本を作り切る、この往復がカリキュラムの核だ。
前身校を含む卒業生には、『国宝』の李相日監督、『踊る大捜査線』の本広克行監督、脚本家の野木亜紀子、お笑い芸人で脚本も手がけるバカリズムなど、第一線で活躍する名前が並ぶ。これは、学歴ブランドではなく現場の実績とネットワークで評価される業界における、この大学の強みを象徴している。
入試方式と合格難易度。学力より面接・小論文
入試は、学力一発勝負ではない設計だ。選抜方式は大きく総合型選抜(いわゆるAO)、学校推薦型選抜、一般選抜に分かれる。総合型と推薦は面接が中心で、一般選抜はA・B・Cの3日程がある(出典:日本映画大学 公式入試情報、ベスト進学ネット、学習塾大成会)。
- A日程:英語と国語の2科目による学力型(2026年度は2月3日、白山キャンパス)
- B日程:映画を鑑賞したうえでの小論文と面接
- C日程:映画鑑賞後の口述試験(面接)
一般選抜の倍率は年により低く、過去には1.2倍前後という数字も伝えられる(詳細な志願者数・合格者数は大学が非公表)。数字の上では受かりやすいが、B・C日程が象徴するように、問われるのは学力よりも映画への感度と、他人と協働できる姿勢だ。大学のアドミッション・ポリシー(大学ポートレート)にも、人間の欲望全般に強い関心を持つこと、芸術・芸能が好きであること、他人と協力できることが挙げられている(出典:私学版大学ポートレート 日本映画大学)。
BFだからと侮って準備をしないと、小論文や面接で映画への熱量を見られて足元をすくわれる。学力の壁は低いが、映画をやりたいという中身の壁は別にある、と考えたほうがいい。
学費と奨学金。初年度188万円、4年で約662万円
費用は公式の学費ページが最も正確だ。初年度納入金は合計1,880,000円で、内訳は入学金300,000円、授業料1,000,000円、施設設備費400,000円、実習費180,000円。入学金は初年度のみのため、2年次以降はおおむね1,580,000円前後となり、4年間の総額はおよそ662万円になる(出典:日本映画大学 学費、大学ポートレート 学費・経済的支援)。
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 300,000円 |
| 授業料 | 1,000,000円 |
| 施設設備費 | 400,000円 |
| 実習費 | 180,000円 |
| 初年度合計 | 1,880,000円 |
| 2年次以降(年額目安) | 約1,580,000円 |
| 4年間総額(概算) | 約6,620,000円 |
実習費を含む私立芸術系として、突出して高いわけではないが、決して安くもない。金額に見合う環境かどうかは、映画制作という目的の明確さで判断が分かれる。
奨学金は整備されている。日本映画大学は国の高等教育の修学支援新制度の確認大学で、家計状況に応じてJASSOの給付型奨学金と授業料等減免が受けられる。加えて、一般選抜A日程で特に優秀な成績を収めた合格者(10名以内)には1年次授業料の全額(100万円)を減免、2・3年生には前年度成績により授業料の半額を減免する制度がある。これらはいずれも返還不要の給付型だ。前身の日本映画学校の卒業者は入学金が免除される(出典:日本映画大学 学費、ベスト進学ネット)。
立地とキャンパス。新百合ヶ丘、映画のまち
キャンパスは神奈川県川崎市麻生区にあり、新百合ヶ丘キャンパスと白山キャンパスを使う。最寄りは小田急線の新百合ヶ丘駅で、白山キャンパスへは駅からバスで約7分。新宿から新百合ヶ丘までは小田急線でおよそ20分と、都心へのアクセス自体は悪くない(出典:日本映画大学 公式、河合塾Kei-Net)。
新百合ヶ丘は川崎市北部にあり、しんゆり映画祭に代表される映画・芸術のまちとして知られる。周辺は落ち着いた住宅地で、繁華街の華やかさはない。駅からバス移動が必要な点を不便と感じる人はいるだろうが、裏を返せば映画制作に集中しやすい環境ともいえる。
白山キャンパスは映画制作の拠点として実習に使われ、機材や編集環境が整う。都心の大規模私大のような広大な敷地や商業的なにぎわいはないが、少人数で顔の見える距離感は単科大学ならではだ。派手なキャンパスライフを期待する人と、通学の利便より制作環境を優先したい人とで、この立地の評価は分かれる。
向いている人・合わない人
ここまでの一次データを踏まえ、日本映画大学が向く人と合わない人を整理する。
- 向いている人:映画・映像の制作に本気で取り組みたい/チームで動くのが苦にならない/学歴ブランドより現場の実務とネットワークを取りたい/フリーランスという働き方を覚悟している/現役の映画人から直接学べる環境に価値を感じる
- 合わない人:学歴で就活の足切りを避けたい/安定した新卒一括採用を最優先したい/個人プレー志向で協働が苦手/学費に対して汎用的な学位や資格を求める/都心の華やかなキャンパスライフを重視する
偏差値BFという事実と、映画に一直線で打ち込める稀少な環境という価値は、矛盾せず両立する。問題は「Fランかどうか」ではなく、「あなたの目的がここで叶うか」だ。目的が曖昧なまま入れば662万円と4年は重く、目的が明確なら他では得がたい場所になる。
まとめ。日本映画大学はFランか
結論を整理する。河合塾基準で映画学部はBF、当サイトの中立判定はS:ボーダーフリー。入試難易度という一点で見れば、日本映画大学はいわゆるFランに該当する。これは動かない事実だ。
しかし、収容定員充足率90.0%は即経営危機を否定し、公式の就職率80%と自営業主等が就職者の約45%を占める構造は、この大学が学歴市場ではなく映画業界という別の物差しで回っていることを示す。日本で唯一の映画単科大学という中身は、偏差値の数字だけでは切り取れない。
だから「日本映画大学はFランか」への答えは、数字の上ではYes、しかし進学の目的が映画にはっきり向いているならNoに近い、という二段構えになる。恥や噂で決めるのではなく、偏差値と充足率と就職データという一次情報で、自分の目的に照らして決めてほしい。
よくある質問
日本映画大学の偏差値はいくつですか
河合塾Kei-Net(2027年度入試用)では映画学部はBF(ボーダーフリー)です。これは河合塾が合格可能性50%のボーダーを設定できないほど、受験すればほぼ合格できる層にあることを意味します。当サイトの中立判定ではS:ボーダーフリーに分類しています。
日本映画大学はFランですか
入試難易度という一点では、BFはいわゆるFランに該当します。ただし収容定員充足率90.0%や公式就職率80%、日本で唯一の映画単科大学という中身は、偏差値の数字だけで評価しきれません。学力の物差しではFラン、目的の物差しでは別評価、と二段で見るのが実態に近いです。
就職率と就職先はどうですか
大学公式の進路・就職実績(令和8年3月卒業生)では、就職希望者59名に対し就職者47名で、映画学部全体の就職率は80%です。就職者の約45%にあたる21名が自営業主等で、フリーランスが多い映画業界の構造が表れています。主な就職先はNHKやソニーPCL、東映アニメーション、Production I.Gなど映像制作・放送関連が中心です。
学費はいくらかかりますか
初年度納入金は1,880,000円(入学金30万、授業料100万、施設設備費40万、実習費18万)で、4年間の総額はおよそ662万円です。国の修学支援新制度の確認大学で給付型奨学金や授業料減免があり、一般選抜A日程の成績上位者には1年次授業料全額の減免制度もあります。
日本映画大学は潰れませんか
収容定員充足率は90.0%で定員割れではあるものの相対的に高く、国の修学支援新制度の対象校でもあるため、即座に経営危機と決めつける根拠は乏しいです。ただし単科大学であることと少子化は構造的なリスクで、留学生比率の高さが充足率を支えている点は理解しておくべきです。
誰でも入れますか
偏差値はBFで学力のハードルは低いですが、一般選抜のB・C日程は映画鑑賞後の小論文や口述試験で、面接や表現力が問われます。準備なしで臨むと不合格になり得ます。学力より映画への熱意と協働性が見られる入試だと考えてください。