― 大学別データ判定 ―
松本歯科大学はFランで恥ずかしい?偏差値35・充足率73.2%の実像を暴く
河合塾偏差値と私学事業団の充足率、大学公式の国家試験データから見た松本歯科大学の実像

この記事の目次
河合塾偏差値は35.0。まず入口の難易度を数字で確認する
「松本歯科 Fラン」という検索が生まれる最大の理由は、入口の偏差値の低さだ。松本歯科大学 歯学部 歯学科の偏差値は、河合塾のボーダーライン(合格可能性50%のライン)で35.0。共通テスト利用でのボーダー得点率はおよそ41%とされる。私立歯学部の中でも最下層帯にあたる数字で、これが「Fラン」というラベルの発生源になっている。なお、集計サイトによっては41や44〜45といった数字を掲げる場合があるが、受験の目安として信頼できるのは河合塾のボーダー偏差値であり、当サイトはこの35.0を採用する。
| 学部 | 学科 | 偏差値 | 共テ得点率の目安 |
|---|---|---|---|
| 歯学部 | 歯学科 | 35.0 | 約41% |
出典: 河合塾Kei-Net(2027年度入試難易度)、旺文社パスナビ(河合塾提供)。
当サイトは、この入口難易度を独自の中立スケールで判定している。真性のFラン帯をS、純Fラン帯をAと置く。
- S(BF/ボーダーフリー): 河合塾が難易度を算出できない最下層。事実上の無選抜。
- A(実質全入): 偏差値35前後で、対策すれば誰でも受かるに近い帯。
松本歯科大学の判定はA(実質全入)。BF(数字が付かない状態)ではなく、35.0という数字が付いているため、Sではなく一段上のAに置いている。ここで強調したいのは、これはあくまで入口の話であり、歯科医師という国家資格に直結する専門課程では、出口の実績こそが本当の実力になるという点だ。以下、その出口の話へ入っていく。
ここが本題:収容定員充足率73.2%が映す二面性
多くのランキングサイトが偏差値と国家試験合格率しか見ないのに対し、当サイトはもう一つの一次データを軸に加える。収容定員充足率だ。これは大学が定めた収容定員(全学年の受け入れ上限)に対して、実際に何割が在籍しているかを示す指標で、私学版大学ポートレート(日本私立学校振興・共済事業団)が公表している。松本歯科大学 歯学部の収容定員充足率は73.2%(2025年公表値)。定員の4分の1以上が埋まっていない、いわゆる定員割れの状態にある。
この73.2%という数字には、向きの違う二つの意味が同居している。
一つ目は、受験生から見た入りやすさの裏付けだ。定員割れは、偏差値35.0や、後述する実質倍率およそ1.1倍と完全に整合する。募集人員に対して志願者が足りていないのだから、対策をして受験すれば合格に届く可能性は高い。当サイトが下した「実質全入」という判定は、偏差値だけでなくこの充足率からも支えられている。
二つ目は、私立歯学部という業界全体の需給を映す面だ。歯科医師数の需給調整を背景に歯学部の定員は長く抑制され、都心から離れた単科大学ほど志願者集めに苦戦してきた。充足率73.2%は、松本歯科大学だけの固有事情というより、この構造の中に置かれた立ち位置を示している。だからこそ大学側は2026年度から学費を大幅に値下げし、志願者の裾野を広げにいっている(学費の章で詳述)。
整理すると、収容定員充足率73.2%は「入りやすい」というプラス面と、「選抜性・人気が高くはない」というマイナス面を、同時に示す一枚のデータだ。ここを偏差値と国家試験だけで語ると、入口と出口のどちらか一方しか見えない。当サイトが充足率を独自軸に据えるのは、この二面性をそのまま提示することが中立だと考えるからだ。数字の出どころは私学版大学ポートレート(私学事業団)2025年公表値である。
「やばい・恥ずかしい」の噂を、類型に分けて検証する
検索候補に出る「やばい」「恥ずかしい」という言葉について、具体的な誰かの中傷を並べても意味はない。ここでは噂を三つの類型に分け、データで一つずつ検証する。
類型1: 偏差値が低いから恥ずかしい。これは事実の指摘で、河合塾偏差値35.0は私立歯学部でも下位帯だ。ただし歯学部は、6年間の教育を経て歯科医師国家試験に合格させることがゴールの専門課程であり、入口の偏差値がそのまま卒業後の資格や実力になるわけではない。入口の低さと出口の実績は、分けて見る必要がある。
類型2: 留年・進級が厳しい。これは松本歯科大学に限らず、私立歯学部全般に共通する構造だ。歯学部は進級判定や卒業試験が厳しく、学年が上がるほど国家試験に通る学力へと絞り込む仕組みを持つ大学が多い。裏を返せば、この厳しさが後述の高い新卒合格率を支えている。厳しさをネガティブと取るか、合格率を守る仕組みと取るかで、評価は変わる。
類型3: 学費が高い。私立歯学部はどこも総額が高額で、その一般イメージが松本歯科大学にも投影されている。ただし後述のとおり、松本歯科大学は2026年度から学費を大幅に値下げし、私立歯学部の中では最安級に入った。「私立歯学部だから高い」という前提が、この大学に関しては最新の事実とずれてきている。
三つの類型に共通するのは、いずれも入口の偏差値イメージから生まれた連想だという点だ。噂そのものを頭から否定はしないが、出口(国家試験)と最新の学費という一次データを重ねると、印象と実態の距離がはっきり見えてくる。
就職・進路:卒業後は臨床研修から歯科医師へ
歯学部の進路は、一般の学部とは構造が違う。卒業と歯科医師国家試験合格の後に1年以上の臨床研修が必須で、その先に開業医・勤務医・研究者などの道が分かれる。まずは大学公式に近い一次データで、卒業後の流れを押さえる。
私学版大学ポートレート(私学事業団)によると、松本歯科大学 歯学部の2024年度卒業者は54名。内訳は、臨床研修先への進学が41名、大学院等進学が5名、その他7名、不詳等1名で、卒業生の多くが臨床研修へ進んでいる。臨床研修の主な受け皿は松本歯科大学病院で、研修定員は80名(単独型55名、複合型25名)が用意されている。
その先の出口となる歯科医師国家試験の実績は、この大学の最大の強みだ。大学公式の発表によると、新卒合格率は第118回(2025年)で90.7%、第116回(2023年)で93.1%を記録し、第116回は全国平均77.3%を大きく上回って全国29歯学部中2位だった。第115回(2022年)も90.4%で、新卒合格率は4年連続で90%を超えている。大学公式は「新卒合格率7年間の平均90%」とも案内しており、入口の偏差値35.0からは想像しにくい、出口の高さがある。
卒業後の具体的な進路先としては、個人開業医、病院や診療所の勤務医、研究機関の研究員、大学教員、厚生労働省や地方自治体などの公職、地域の歯科医師会役員などが挙げられている(ベネッセ マナビジョン)。創立から50年余で、累計およそ4,800名の歯科医師を輩出してきた実績もある。
なお、松本歯科大学には歯科衛生士を養成する衛生学院も併設されており、そちらは就職希望者の就職率100%と案内されているが、これは歯科医師とは別の課程の数字である点に注意したい。歯学部本体の出口は、あくまで国家試験合格と臨床研修、その先の歯科医師キャリアだ。
出典: 私学版大学ポートレート(私学事業団)、松本歯科大学公式サイト(国家試験結果・入試情報)、ベネッセ マナビジョン。
学べること:歯学科単科の6年一貫、少人数教育
松本歯科大学は、歯学部歯学科のみを置く単科の私立歯科大学だ。学ぶ内容は6年一貫の歯科医師養成カリキュラムで、基礎歯学から臨床歯学、そして併設の松本歯科大学病院での臨床実習までが一本の線でつながっている。
建学の理念は「良き歯科医師は良き人間である」。専門知識だけでなく、人間性や倫理観を備えた歯科医師の育成を掲げている。規模は小さく、公開情報では在学生およそ465名に対して専任教員はおよそ148名、教員1人あたりの学生数はおよそ3.1人という少人数体制だ(第三者による詳細解説)。
教育面の特色として、毎週のウイークリーテストで前週の学習内容を確認し、学生が自分の理解度を把握しながら知識を積み上げていく仕組みが知られている。この積み上げが、高い国家試験合格率の土台になっている。研究面では総合歯科医学研究所を基盤とした大学院歯学独立研究科を持ち、海外の複数の大学と学術交流協定を結ぶなど、単科大学ながら研究・国際交流の柱も備える。
大学病院を併設しているため、実際の患者に触れる臨床実習の環境が学内で完結する点も、歯科医師を目指す学生には実践的な強みになる。出典: 松本歯科大学公式サイト、しがくぶ.net、第三者による詳細解説(note)。
入試方式と合格難易度:一般・推薦・総合型・共通テスト利用
入試方式は幅広い。大学公式の募集区分では、総合型選抜(Ⅰ期・Ⅱ期)、学校推薦型選抜(公募制・指定校)、校友子女選抜、一般選抜(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期)、共通テスト利用選抜(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期)、特待生募集、留学生選抜、編入学選抜、再入学選抜が用意されている。歯学部の単科大学として、複数の入口から受験生を受け入れる設計だ。
合格難易度は、偏差値35.0という数字が示すとおり高くない。各予備校・データサイトの集計では、2025年度の実質倍率はおよそ1.1倍(志願およそ182名、受験およそ172名、合格およそ150名)とされ、受験すればかなりの割合が合格に届く水準にある。共通テスト利用でのボーダー得点率もおよそ41%で、いわゆる高得点勝負にはならない。
この入りやすさは、前の章で見た収容定員充足率73.2%(定員割れ)と地続きだ。募集に対して志願者が足りていないため選抜性は低く、対策の量がそのまま合否を左右しやすい。当サイトの判定A(実質全入)は、偏差値・倍率・充足率の三つが同じ方向を指していることに基づく。
ただし、入りやすさと卒業しやすさは別物だ。歯学部は入学後の進級・卒業判定が厳しく、入口の易しさに比べて出口(国家試験)の学力は高く要求される。入りやすいから楽、という誤解はしない方がいい。出典: 松本歯科大学公式サイト、旺文社パスナビ、各社入試結果集計。
学費と奨学金:2026年度から大幅値下げ
私立歯学部は総じて高額だが、松本歯科大学はここが大きく動いた。従来6年間で約2,528万円だった学費を、2026年度入学生から新学費体系に切り替え、6年間の授業料を1,750万円へ引き下げた(大学公式)。入学金や諸会費を含めた6年間総額でもおよそ2,008万円とされ、医歯専門予備校の集計では、明海大学・朝日大学に次いで私立歯学部で3番目に安い水準に入った。
初年度の納付金(2026年度・旺文社パスナビ)は次のとおりだ。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 初年度納入金額 | 3,380,000円 |
| 入学時最小限納入金額 | 2,130,000円 |
| 入学金 | 500,000円 |
| 授業料 | 2,500,000円 |
| 諸会費 | 380,000円 |
さらに特待生制度も用意されている。共通テスト利用選抜による1種特待生(若干名)では、6年間の授業料が毎年70万円に軽減され、入学時に180万円、2〜6学年で各230万円が支給される設計だと案内されている(メルリックス学院)。別途、入学金50万円と諸会費38万円は必要になる。
学費は「私立歯学部だから高い」という一般イメージで語られがちだが、松本歯科大学に関してはその前提が最新の事実とずれてきている。国家試験の新卒合格率が私立で上位帯にあることと合わせて見ると、費用対効果の観点では見直す余地のある大学だ。出典: 松本歯科大学公式サイト、旺文社パスナビ(2026年度)、メルリックス学院。
立地・キャンパス:名前は松本、所在地は塩尻市
名前に「松本」と付くが、キャンパスの所在地は長野県塩尻市広丘郷原1780だ。松本市に隣接する塩尻市の郊外にあり、最寄りはJR篠ノ井線・中央本線の塩尻駅や広丘駅になる。受験や進学で場所を調べるときは、松本市中心部ではなく塩尻市である点に注意したい。
キャンパスは約23万㎡と広く、周囲は自然環境に恵まれた落ち着いた立地だ。都会の喧騒から離れて6年間じっくり学びたい人には向く一方で、繁華街やにぎやかな学生街を期待すると印象は変わる。学内には松本歯科大学病院が併設され、臨床実習や卒業後の臨床研修の場が同じ敷地圏で完結するのは、歯科医師を目指す環境として実務的な利点になる。出典: 河合塾Kei-Net、第三者による詳細解説(note)。
松本歯科大学が向く人・合わない人
ここまでの一次データを踏まえて、相性を整理する。立場にかかわらず、判断材料として読んでほしい。
向く人
- 歯科医師になるという目的がはっきりしていて、大学名のブランドより国家資格の取得を優先する人。
- 私立歯学部の中で学費を抑えたい人(2026年度値下げで最安級)。
- 国家試験の新卒合格率の高さを重視する人。
- 静かな環境で6年間、勉強に集中したい人。
合わない人
- 大学名の知名度や偏差値の高さを重視する人。
- 都会でのキャンパスライフや、総合大学の幅広い交友を求める人。
- 入りやすさイコール楽に卒業できる、と考える人(進級・国家試験は厳しい)。
相性は入口の偏差値ではなく、歯科医師になる目的の強さで決まる大学だと私は考える。
まとめ:松本歯科大学はFランか
結論を一次データで言い直す。入口で見れば、河合塾偏差値35.0、収容定員充足率73.2%(定員割れ)、実質倍率およそ1.1倍で、当サイトの中立判定はA(実質全入)。この意味で「Fラン帯」に入るのは事実だ。
一方で出口を見ると、歯科医師国家試験の新卒合格率は第118回で90.7%、第116回で93.1%(全国2位)と、私立歯学部の中では上位に立つ。学費も2026年度から6年間授業料1,750万円、総額およそ2,008万円へ値下げされ、私立で3番目に安い水準に入った。入口の数字だけで「Fランだから恥ずかしい」と切り捨てるのは、この大学の実態とはずれている。
歯学部は、入口の偏差値ではなく出口の国家資格で評価が決まる専門課程だ。松本歯科大学は、入りやすさと出口の強さが同居する大学だと、データは示している。ここでの判定はあくまで当サイト独自の中立評価であり、最終的な出願判断は、最新の募集要項と自分の目的で確かめてほしい。
よくある質問
松本歯科大学の偏差値はいくつですか。
河合塾のボーダー偏差値(合格可能性50%)で35.0です(河合塾Kei-Net/旺文社パスナビ)。共通テスト利用でのボーダー得点率はおよそ41%とされ、私立歯学部では下位帯にあたります。当サイトの中立判定はA(実質全入)です。
収容定員充足率73.2%とはどういう意味ですか。
大学が定めた収容定員(全学年の受け入れ上限)に対して、実際に約73.2%しか在籍していない、いわゆる定員割れの状態を指します(私学版大学ポートレート2025)。受験生には入りやすさの裏付けになる一方、私立歯学部全体の需給環境も映す数字です。
歯科医師国家試験の合格率は高いのですか。
はい。大学公式によると、新卒合格率は第118回(2025年)で90.7%、第116回(2023年)で93.1%(全国平均77.3%、全国2位)を記録し、4年連続で90%を超えています。入口の偏差値の低さに対して、出口の実績は私立で上位帯です。
学費は高いですか。
2026年度入学生から新学費体系に切り替わり、6年間の授業料が1,750万円(入学金・諸会費込みの総額でおよそ2,008万円)へ大幅に値下げされました。医歯専門予備校の集計では、私立歯学部で3番目に安い水準です(松本歯科大学公式/メルリックス学院)。
卒業後の就職・進路はどうなりますか。
卒業と国家試験合格の後、1年以上の臨床研修(松本歯科大学病院ほか)を経て、開業医・勤務医・研究者・大学教員・公職・歯科医師会役員などへ進みます。2024年度は卒業54名のうち41名が臨床研修へ進学しました(私学版大学ポートレート/ベネッセ マナビジョン)。
松本歯科大学は「やばい・恥ずかしい」と言われますが実際どうですか。
噂の多くは入口の偏差値35.0というイメージから来ています。ただし出口では国家試験の新卒合格率が90%超で全国上位、学費も2026年度から最安級へ値下げされており、入口の印象と最新の実態には距離があります。判定は中立でA(実質全入)です。