― 大学別データ判定 ―
公立鳥取環境大学は本当にFラン?いや、偏差値45の実力を数字で論破する
河合塾偏差値・収容定員充足率(大学ポートレート)・大学公式の就職データで「やばい」「恥ずかしい」の噂を検証する

この記事の目次
まず数字を置く。河合塾偏差値は42.5〜45.0
私は受験指導を8年やってきて、自分自身も偏差値40の大学出身です。だからこそ「Fランかどうか」は感情ではなく数字で見るべきだと考えています。最初に、いちばん検索されている偏差値から確認します。
河合塾および旺文社パスナビが公表する公立鳥取環境大学の偏差値は、学部全体で42.5〜45.0です。入試方式別に整理すると次のようになります。
| 学部 | 方式・日程 | 河合塾偏差値 | 共通テスト得点率 |
|---|---|---|---|
| 環境学部 環境学科 | A方式(前期) | 45.0 | 47% |
| 環境学部 環境学科 | B方式(前期) | 45.0 | 54% |
| 環境学部 環境学科 | 後期 | ー | 55% |
| 経営学部 経営学科 | A方式(前期) | 45.0 | 51% |
| 経営学部 経営学科 | B方式(前期) | 42.5 | 56% |
| 経営学部 経営学科 | 後期 | ー | 61% |
年度によって環境学部と経営学部のどちらが高いかは入れ替わりますが、両学部とも42.5〜45.0の帯に収まっています。ここで押さえたいのは二点です。
- 一般に「Fランの目安」とされるのは偏差値40前後より下、とくに偏差値がつかない実質全入(ボーダーフリー)の私大です。42.5〜45.0はその境界より一段上に位置します。
- 公立鳥取環境大学は私立ではなく公立大学です。受験には大学入学共通テストが必要で、共テ得点率でおおむね5割前後から6割を求められます。共テを課される時点で、無試験で全員が入る大学とは構造が違います。
この二点だけで、当サイトの中立判定としては「Fランではない」と結論できます。偏差値の数字が中堅上位というわけではありませんが、Fランの定義には当てはまりません。出典は河合塾Kei-Net(ボーダーライン)および旺文社パスナビ(2027年度入試・更新2026年7月1日、河合塾第1回全統記述模試)です。
ここが本題。収容定員充足率という一次データで見る
偏差値と就職率は、Fラン検証を掲げる他の記事もだいたい触れています。私がこの記事でいちばん見てほしいのは、そこがほとんど抜けている収容定員充足率という数字です。これは「定員に対して実際に何人在籍しているか」を示す割合で、大学の健全さを測る一次データです。
大学ポートレート(大学改革支援・学位授与機構)が公表する2025年度のデータは次の通りです。
| 学部 | 収容定員(2025) | 在学生数(2025) | 定員充足率 |
|---|---|---|---|
| 環境学部 | 600人 | 663人 | 約110.5% |
| 経営学部 | 600人 | 663人 | 約110.5% |
| 合計(目安) | 1,200人 | 約1,300人 | 約110% |
収容定員は1学年150名×4学年で、1学部あたり600人。両学部とも在学生がそれを上回り、充足率はおよそ110%です。過去2年も経営学部で2023年度109.2%(642/588)、2024年度108.5%(651/600)と、一度も100%を割っていません。
この数字には二面性があります。両面を正直に示します。
- 健全さの証(プラス面): 充足率が100%を超えているのは、定員以上に受験生が集まり、入学しているということです。定員割れ(充足率が100%未満)が慢性化した大学こそ経営が苦しく、合格ラインをどんどん下げて「実質全入」に近づく、いわゆるFラン化の温床になります。公立鳥取環境大学はその逆で、毎年きちんと定員を満たしています。「誰でも入れて中身がスカスカ」という不安は、少なくとも定員の面では当てはまりません。
- 冷静に見る面(フラット面): ただし「充足率が高い=難関で人気が過熱している」とまでは言えません。公立で学費が安く、地元の鳥取県や中国地方の堅実な進学需要をしっかり受け止めている、という側面が大きい。偏差値が跳ね上がらないのは、難関志向の受験層が殺到しているのではなく、実需で埋まっているからです。ですから「定員が埋まっているからレベルも高い」と短絡はしません。
結論として、充足率という一次データは「Fランの典型症状である定員割れが起きていない」ことを客観的に示します。これは偏差値や就職率とは別の角度からの裏付けです。出典は大学ポートレート(大学改革支援・学位授与機構)2025年度。数値の解釈は当サイト独自の中立判定です。
「やばい」「恥ずかしい」と言われる理由を類型で検証する
検索ボックスに「やばい」「恥ずかしい」と打ち込む気持ちはわかります。ただ、その言葉の中身を分解すると、大学の実力とは関係のない理由が混ざっています。ここでは個別の書き込みを逐語で引用することはせず(差別的・侮辱的な表現の再掲は避けます)、噂を類型に分けて構造だけを検証します。
- 類型1:知名度が低いから不安。 2001年開学で歴史が浅く、環境と経営に絞った小規模大学のため、全国区の知名度は高くありません。しかし知名度の低さは学力の低さではありません。地方の公立単科系大学は総じて全国的な名前の通りが弱く、それだけで「やばい」と評価するのは筋違いです。
- 類型2:昔Fランだったのでは、という残像。 これは半分事実で半分誤解です。公立鳥取環境大学は2001年に公設民営方式の私立大学として開学し、少子化と当時の高い学費を理由に志願者が減った時期がありました(大学公式沿革・Wikipedia)。その私大時代のイメージが「やばい」噂の主な源泉です。ところが2010年に公立化が検討され、2012年に公立大学法人化。学費が下がって志願者が回復し、以降は偏差値も定員充足率も安定しています。過去の私大時代と現在の公立時代は、別の大学と考えたほうが実態に近い。
- 類型3:地方・田舎で就職が心配。 これは次章の就職データで反証します。むしろ公務員や地元金融・製造業に強く、就職率は毎年98%を超えています。
- 類型4:環境系は就職がないのでは。 環境と経営の二枚看板を持ち、環境専門職だけでなく一般企業・公務員に幅広く進んでいます。環境学が就職の足かせになっている形跡は、公表データからは見えません。
「恥ずかしい」という感情は、偏差値の数字だけを他人と並べたときに出やすいものです。ですが、公立大学で共通テストが必須、定員はむしろ超過、就職率は98%超という実像を並べれば、恥じる要素は見当たりません。噂は「知名度の低さ」と「私大時代の残像」でほぼ説明がつきます。
就職データ。ここが評価の中心軸
Fランかどうかを気にする本当の理由は、たいてい「卒業後どうなるか」です。だから就職は大学公式の進路データを主軸に置きます。
公立鳥取環境大学が公表する2024年度卒業生(2025年3月卒)の就職率は次の通りです。
| 区分 | 就職希望者 | 就職者 | 就職率 |
|---|---|---|---|
| 環境学部 | 122名 | 121名 | 99.2% |
| 経営学部 | 126名 | 124名 | 98.4% |
| 全体 | 248名 | 245名 | 98.8% |
全国の大学の就職率が近年おおむね98%前後で推移するなか、それを上回る高水準です。過年度も就職内定率97〜100%台で安定しています。数字の出どころは大学公式の「就職・進学実績」(卒業生の進路PDF、過去3年分公開)で、パスナビやマナビジョンなどのポータルも同じ大学公表値を掲載しています。
就職先の顔ぶれにこの大学の性格が出ています。過去数年の主な実績(大学公式・マナビジョン掲載)を分野で整理します。
- 公務員に強い: 環境省、林野庁、水産庁、国土交通省中国地方整備局、鳥取県・鳥取市をはじめとする地方自治体、各県警察本部、自衛隊など。環境学部の専門性が国や自治体の環境・農林・土木系の採用に直結しています。
- 教員: 鳥取県・大阪府・兵庫県・岡山県などの教育委員会。環境学部では中学校・高等学校教諭一種免許状(理科)が取得できます。
- 金融: 鳥取銀行、山陰合同銀行、みずほフィナンシャルグループなど。地元地銀への安定したパイプがあります。
- 一般企業: 製造・建設・インフラから、イオンリテール、ニトリといった全国区の流通まで幅広く進んでいます。
- 大学院進学: 北海道大学、東北大学、東京大学、京都大学、鳥取大学などの国立大学院への進学実績もあります。
この就職力の背景には、1学年150名×2学部という小規模ゆえの手厚さがあります。大学ポートレートによれば、1年次から進路ガイダンスや資格取得支援を始め、3年次には全学生の個別面談を実施。キャリアカウンセラーや就職実践講師を配置しています。少人数だからこそ一人ひとりに支援が届く、という構造です。偏差値の数字だけを見て就職を心配する必要は、このデータからは見当たりません。
環境と経営の二枚看板。学べる中身
公立鳥取環境大学は「人と社会と自然との共生」を基本理念に、環境学と経営学の両輪で学べる全国でも珍しい構成の公立大学です。学部は次の2つです。
- 環境学部 環境学科(1学年150名): 「自然環境保全」「循環型社会形成」「人間環境」の3つの側面から環境問題の全体像を学びます。1年次からフィールドワークに取り組めるカリキュラムが特徴で、気象学、動物行動学、環境経済論、バイオマス変換論、都市の自然環境形成など、理系と社会科学をまたぐ科目が並びます。中学校・高等学校教諭一種免許状(理科)の教職課程も設置されています。
- 経営学部 経営学科(1学年150名): 企業・地域・国際・情報の4つの視点からマネジメントを学びます。環境学部との連動により「環境に対応した未来型の経営」を学べるのが売りで、単なる経営学ではなく、持続可能な社会や地域振興と結びついた経営を扱います。
大学院として環境経営研究科(修士課程)も設置されています。大学全体としてはパリ協定が求める水準と整合したCO2削減目標を掲げ、脱炭素の取り組みを進めるなど、環境を看板に据えた運営を打ち出しています。環境問題を「理系の自然科学」と「文系の経営・政策」の両面から扱いたい人にとっては、学部選びで迷わずに済む設計です。
入試方式と合格難易度。実質全入ではない
入試は公立大学らしく、共通テストと個別試験を組み合わせる方式です。主な入り口は次の通りです。
- 一般選抜(前期A方式・前期B方式・後期日程)
- 学校推薦型選抜
- 総合型選抜
合格難易度の目安は、共通テスト得点率で環境学部47〜55%、経営学部51〜61%、河合塾偏差値で42.5〜45.0です。共テでおおむね5割前後から6割を確保したうえで、個別試験や配点で競う形になります。
倍率についても触れておきます。旺文社パスナビや河合塾の入試結果によると、2025年度の一般選抜はおおむね経営学部で約2.9倍(方式によっては3倍超)、環境学部で約1.9倍とされています(数値は年度・集計により変動するため、最新は募集要項で確認してください)。1倍台後半から3倍前後の倍率がつくということは、受験すれば誰でも受かる水準ではないということです。偏差値がつかない実質全入のボーダーフリー大学とは、この点で明確に線引きできます。「Fラン=実質全入」という定義に当てはめると、公立鳥取環境大学はそこから外れます。
学費は公立水準。私大文系の半額前後
公立大学なので、学費は私立に比べて明確に安いのが強みです。最新の学納金(大学公式)は次の通りです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学料(鳥取県外者) | 282,000円 |
| 入学料(鳥取県内者) | 188,000円 |
| 授業料(年額) | 535,800円(半期267,900円×2回) |
4年間の授業料は合計約214万円。入学料を加えた4年総額は、県外者で約243万円、県内者で約233万円です。これとは別に、保険料や学友会費などの諸経費が初年度に約5万3千円、講義で使う指定ノートパソコンが約15万6千円(2024年度実績)必要になります。
参考までに、私立大学の文系は4年間でおおむね400万〜450万円前後かかります。公立鳥取環境大学はその半額前後で収まる計算で、コスト面のメリットは大きい。奨学金・支援制度も整っており、次のものが利用できます。
- 高等教育の修学支援新制度(国の制度)の対象校。要件を満たせば給付型奨学金と、入学料・授業料の減免をセットで受けられます。
- 日本学生支援機構(JASSO)の給付型・貸与型奨学金。
- 大学独自の入学料免除制度(免除額は県外282,000円・県内188,000円)。
「安く堅実に大学を出て就職したい」という現実的な狙いに、学費と支援の両面でよく合う大学です。出典は大学公式の学納金ページおよび大学ポートレート、マナビジョンです。
立地とキャンパス。自然の中の学び場
キャンパスは鳥取県鳥取市若葉台北一丁目1番1号にあります。JR鳥取駅または津ノ井駅からバスで約15分。日本交通が受託運行するスクールバスが複数の経由地から出ており、通学の足は確保されています。加えて、JR鳥取駅前には「まちなかキャンパス」があり、地域と連携した学びの拠点になっています。
大学は「キャンパスだけでなく地域全体を学びの舞台にする」ことを掲げています。鳥取は自然が豊かで、環境学のフィールドワークには適した土地です。一方で、過疎や高齢化といった現代社会の課題に間近で触れられる立地でもあり、それ自体を環境・経営双方の学びの題材にしています。
逆に言えば、都会的な繁華街や大規模な娯楽が徒歩圏に密集しているタイプのキャンパスではありません。賑やかな都市生活を大学に求める人には物足りなく感じられる可能性があります。ここは向き不向きが分かれるポイントなので、次章で整理します。
向く人・合わない人を正直に分ける
ここまでの一次データを踏まえて、公立鳥取環境大学が合う人と合わない人を、忖度なしで整理します。
向いている人
- 公立の安い学費で、堅実に就職まで持っていきたい人。
- 公務員(国・地方の環境・農林・土木系)や環境系専門職を志望する人。
- 環境学と経営学を横断して学びたい人。片方だけの学部では物足りない人。
- 少人数で、教員やキャリア支援が近い距離にある環境を求める人。
- 地元の鳥取県・中国地方で働くこと、地方公務員を軸に考えている人。
合わない可能性がある人
- 全国区の知名度やブランドを最優先にしたい人。
- 都会の刺激、大規模なサークル活動、華やかなキャンパスライフを重視する人。
- 偏差値の数字そのものを他人に誇りたい人(数字帯は中位です)。
- 医学・法曹など、特定の難関資格や専門に一直線で進みたい人。この大学の学部構成とは方向が異なります。
大事なのは、Fランかどうかという他人の物差しではなく、自分の進みたい出口とこの大学の出口が重なるかどうかです。就職と学費の実データが自分の目的に合うなら、偏差値の数字帯を理由に候補から外す必要はありません。
まとめ。公立鳥取環境大学はFランか
当サイトの中立判定は「Fランではない」です。感情ではなく、一次データを4つ並べれば結論は動きません。
- 構造: 私立ではなく公立大学。受験に共通テストが必須で、実質全入ではない。Fランの定義(無試験に近い私大)に当てはまらない。
- 偏差値: 河合塾で42.5〜45.0。Fランの境界とされる帯より一段上に位置する。
- 定員充足率: 収容定員に対して在学生は約110%。定員割れが続くFランとは真逆で、毎年きちんと満たしている。
- 就職: 2024年度卒で全体98.8%。公務員・地元金融・環境系に強く、少人数の手厚い支援が背景にある。
「やばい」「恥ずかしい」という噂は、2001年に私立として開学したころの志願者減の残像と、全国的な知名度の低さでほぼ説明がつきます。現在の公立鳥取環境大学の実像を数字で見るかぎり、恥じる要素は見当たりません。中堅上位の難関だと持ち上げるつもりはありませんが、Fランと呼んで候補から外すのは、データの読み違いです。自分の出口とこの大学の出口が重なるかどうかで判断してください。
よくある質問
公立鳥取環境大学はFランですか。
当サイトの中立判定では、Fランではありません。私立ではなく公立大学で、受験には共通テストが必須です。河合塾偏差値は42.5〜45.0でFランの境界より上に位置し、収容定員充足率も約110%と定員を満たしています。実質全入の私大というFランの定義には当てはまりません。
偏差値はどのくらいですか。
河合塾および旺文社パスナビによると学部全体で42.5〜45.0です。前期A方式が45.0、B方式が42.5あたりで、共通テスト得点率は環境学部が47〜55%、経営学部が51〜61%が目安です(2027年度入試・河合塾提供データ)。
就職は大丈夫ですか。
2024年度卒業生(2025年3月卒)の就職率は全体98.8%、環境学部99.2%、経営学部98.4%です(大学公式)。環境省・林野庁・国土交通省などの公務員、鳥取銀行・山陰合同銀行などの金融、製造・流通まで幅広く、公務員と地元就職に強いのが特徴です。
「やばい」と言われるのはなぜですか。
主な理由は、2001年に私立として開学した当時に志願者が減った過去のイメージと、全国的な知名度の低さです。2012年の公立化で学費が下がり志願者と定員充足率は安定しています。現在の実像とは切り離して見る必要があります。
学費はいくらですか。
授業料は年額535,800円、入学料は鳥取県内者188,000円・県外者282,000円です。4年間の総額は県内者で約233万円、県外者で約243万円で、私立文系のおよそ半額前後です。高等教育の修学支援新制度の対象校で、給付型奨学金や入学料・授業料の減免も利用できます。
どんな人に向いていますか。
公立の学費で堅実に就職したい人、公務員や環境系専門職を志望する人、環境学と経営学を横断して学びたい人、少人数の手厚い支援を求める人に向いています。逆に全国区の知名度や都会的なキャンパスライフを最優先する人には物足りない可能性があります。