― 大学別データ判定 ―
北海道科学大学は“やばい”のか。Fランと言われる理由をデータで検証
河合塾偏差値35.0〜45.0/収容定員充足率103.0%/就職率98.8%。噂ではなく一次データで見る中立判定(著者:森田涼・受験指導歴8年)

この記事の目次
まず河合塾偏差値を確認する(学科で35.0〜45.0の幅)
「やばい」という評価のほとんどは、偏差値が低い学科の数字だけを切り取って広まっています。感情の入った言葉に振り回される前に、まず数字から見ます。私が受験指導の現場で生徒に最初に見せるのも、この学部・学科別の一覧です。以下は河合塾Kei-Net(2027年度入試用)に基づく偏差値です。
| 学部 | 学科 | 河合塾偏差値 |
|---|---|---|
| 工学部 | 機械工学科 | 35.0 |
| 工学部 | 電気電子工学科 | 35.0 |
| 工学部 | 建築学科 | 37.5 |
| 工学部 | 都市環境学科 | 35.0 |
| 情報科学部 | 情報科学科 | 45.0 |
| 薬学部 | 薬学科 | 35.0 |
出典は河合塾Kei-Net(2027年度)。大学全体の代表値としては35.0前後です。ここから読み取れることは二つあります。
一つ目は、同じ大学名でも学科によって偏差値が10ポイント近く開いていること。工学部の機械工学科・電気電子工学科・都市環境学科と薬学科は35.0で、これは河合塾の区分では実質的に全入に近い水準、いわば境界の下側です。一方で情報科学部の情報科学科は45.0あり、これは全国の私立理系の平均前後にあたり、Fランと断じるには根拠が弱い数字です。建築学科は37.5でその中間に位置します。
二つ目は、この表に保健医療学部(看護・理学療法・臨床工学・診療放射線)が一般的な偏差値レンジで並びにくいこと。医療・看護・薬などの資格系は、一般選抜の偏差値よりも国家試験の合格率と就職の出口で評価すべき分野です。偏差値35.0だからFラン、と機械的に当てはめると実像を見誤ります。ここは後の一次データの章で具体的な数字を示します。
骨格としての結論はこうです。北海道科学大学は、最も低い学科が境界の下側にある一方、情報科学部は明確に非Fラン、医療系は出口で評価すべき大学です。学科ごとの差が大きいため、大学名だけで一律にFランと断じるのは数字の上で正確ではありません。
本題:収容定員充足率103.0%が示す二つの顔
ここが、他のまとめ記事があまり触れない一次データの核心です。大学の危険信号は、偏差値そのものよりも「定員割れ」に表れます。志願者が集まらず入学者が定員を下回ると、学費収入が減り、教育や設備に回すお金が細り、さらに評判が落ちるという負の連鎖に入ります。これがいわゆるFランのFラン化のメカニズムです。日本私立学校振興・共済事業団の調査では、私立大学のおよそ4割が定員割れという時代です。
では北海道科学大学はどうか。私学版大学ポートレート(日本私立学校振興・共済事業団、2025年)によると、収容定員充足率は103.0%です。100%を超えているということは、定員を満たしたうえで、わずかに上回る学生が在籍しているという意味です。定員割れという典型的なFランの症状には、少なくとも当てはまっていません。
ただし、この数字には二つの顔があります。両方を正直に見ておく必要があります。
- 表の顔(安定の証拠):103.0%は、地元で継続的に選ばれ、経営が安定していることを示します。私大の4割が定員割れするなかで定員を満たしているのは、就職や資格の実績が地域で評価されている裏返しです。校舎のリニューアルや最新設備への投資が続けられているのも、この安定した収入があってのことです。
- 裏の顔(難易度とは別物):充足率が高いことは、入試が難しいことを意味しません。定員が埋まる背景には、総合型選抜・学校推薦型選抜の比率の高さや、系列校からの内部進学があります。実際、系列の北海道科学大学高等学校からは直近3年間で324名が進学しています。偏差値35.0の学科でも志願者が集まって定員は埋まる、という構造です。つまり「入りやすさ」と「定員が埋まること」は両立します。充足率は人気と経営の健全性の指標であって、難易度の指標ではありません。ここを混同すると実像を見誤ります。
この二面性を踏まえると、北海道科学大学の位置づけははっきりします。定員割れ・経営難という意味での「危ないFラン」ではないが、一般入試の難易度が高いわけでもない。需要は健全で、出口(就職・資格)が強い実学の私大、というのが充足率から見た実像です。
「北海道科学大学はやばい・恥ずかしい」と言われる理由を類型で検証する
検索で見かける「やばい」「恥ずかしい」という声を、個別の書き込みをそのまま引くのではなく、発生の類型に分けて冷静に見ていきます。誰かを貶める言葉の再掲には意味がないので、なぜその印象が生まれるのかという構造だけを扱います。
類型1:学科間の偏差値差が大きく、低い数字だけが拡散する。前述のとおり偏差値は35.0から45.0まで開いています。ネットでは最も低い数字が切り取られて「この大学はFラン」と一般化されやすい。実際には情報科学部45.0のように高い学科もあり、平均で語ると像がぼやけます。
類型2:旧・北海道工業大学からの改称と大規模リニューアル。2014年に北海道工業大学から現在の名称へ変わり、その後も校舎の建て替えや学部再編が続いています。新しく綺麗になった外観と、旧名時代のイメージのギャップが「急に変わった、中身は大丈夫なのか」という違和感になり、「やばい」という言葉に変換されている面があります。
類型3:学歴を扱う発信者が低偏差値の学科を取り上げる。学歴系の動画やまとめでは、インパクトのある低い数字が選ばれがちです。一方で、みんなの大学情報などで出身高校を見ると道内の中位以上の高校出身者も一定数おり、実際の学生層と切り取られた印象にはズレがあります。
類型4:理系・医療系ゆえの学費が「高い=やばい」と結びつく。初年度納付金は文系より高く、数字だけ見ると驚きます。ただし後の章で示すとおり、これは理系・医療系私大として平均的な水準です。
類型5:総合型・推薦の比率の高さが「入りやすい=恥ずかしい」に連想される。入試の多様化はいまや全国的な流れで、北海道科学大学に限った話ではありません。入りやすさと、卒業後に資格や就職で結果を出せるかは別の問題です。
あわせて「公立化するのではないか」という噂も見かけます。公立の大学との連携協定などが背景にあるようですが、連携は公立化とは別の話です。大学から公立化を決めたという公式発表や具体的な動きは、現時点で確認できません。進学の判断材料として、公立化の可能性を前提にするのは時期尚早です。
就職・進路と国家試験を大学公式データで見る(ここが評価の本丸)
資格系・実学系の大学は、偏差値ではなく出口で評価するのが筋です。北海道科学大学の公式「就職データ」によると、学部全体の就職率は2025年度98.8%(就職希望者896名中885名が就職)、2024年度は96.9%(818名中793名)です。求人件数は2025年度で11,521件。大学院修士課程の就職率は100.0%(33名中33名)でした。
業種別(2025年度・学部全体)の内訳は次のとおりです。
| 業種 | 割合 |
|---|---|
| 医療・福祉 | 27.9% |
| 情報通信業 | 16.2% |
| 建設業 | 14.8% |
| 卸売業・小売業 | 13.0% |
| 製造業 | 8.6% |
| サービス業 | 5.8% |
地域別では札幌47.7%、道内(札幌除く)15.2%と、道内就職が6割超を占めます。一方で関東も28.7%あり、道外へ出る学生も一定数います。地元志向の受験生にも、首都圏を視野に入れる受験生にも対応できる進路実績です。
主な就職先は旺文社パスナビの集計で次のように公表されています。学部ごとに専門性がそのまま就職先に反映されているのが分かります。
- 工学部:メイテックフィルダーズ、北海電気工事、北海道電力、砂子組、ミサワホーム北海道、岩田地崎建設、つうけんアドバンスシステムズ、中山組 など
- 薬学部:アインホールディングス、ツルハ、日本調剤、メディカルシステムネットワーク、手稲渓仁会病院 など
- 保健医療学部:北海道大学病院、手稲渓仁会病院、昭和大学病院、札幌秀友会病院、北海道医療センター など
国家試験の合格率も、大学公式の集計(2025年度・新卒)で全国平均を上回る学科が多いのが特徴です。
| 資格 | 本学合格率 | 全国平均 |
|---|---|---|
| 看護師 | 96.7% | 94.1% |
| 理学療法士 | 97.8% | 94.9% |
| 臨床工学技士 | 82.7% | 65.7% |
| 診療放射線技師 | 94.1% | 83.8% |
| 薬剤師(第111回) | 84.0% | 86.3%(新卒) |
看護・理学療法・臨床工学・診療放射線は全国平均を上回っています。とくに臨床工学技士は全国平均65.7%に対して82.7%と差が大きい。薬剤師は84.0%で、新卒の全国平均86.3%をわずかに下回りますが、大きく劣っているわけではありません。偏差値の数字だけを見て就職できないと決めつけるのは、この出口データと矛盾します。
何が学べるのか(実学重視の学部構成)
北海道科学大学は、工学・情報・薬学・医療・デザインを一つのキャンパスに集めた実学志向の私立大学です。学部・学科の構成は次のとおりです。
- 工学部:機械工学科、電気電子工学科、建築学科、都市環境学科。ものづくりの設計から建設・インフラまでを扱い、建築士や電気主任技術者、土木施工管理技士など実務直結の資格を狙えます。
- 情報科学部:情報科学科(2025年に情報工学科から改組)。AI・データサイエンスの流れを受けて、学内で最も偏差値が高く、共通テストの得点率でも難度が高い学部です。
- 薬学部:薬学科(6年制)。薬剤師国家資格を目指します。
- 保健医療学部:看護学科、理学療法学科、臨床工学科、診療放射線学科。医療専門職の養成に特化し、国家試験対策の体制が整っています。
- 未来デザイン学部:メディアデザイン学科。CGやデザイン、メディア領域を学びます。
さらに2027年4月開設に向けて地域創造学部(仮称)が構想中で、時代のニーズに合わせた再編が続いています。共通する特色は、講義だけで終わらせず、実験・実習・地域連携を通じて即戦力を育てる実学の姿勢です。教員1人あたりの学生数は20人前後で、少人数での指導を打ち出しています。偏差値の数字より、この実学と資格の設計にこそ、この大学の価値があると私は考えます。
入試方式と合格難易度
入試は、一般選抜(前期・後期)、大学入学共通テスト利用選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜(指定校・系列校を含む)と、複数のルートが用意されています。系列の北海道科学大学高等学校からの内部進学もあり、直近3年間で324名が進学しています。この推薦・内部進学ルートの広さが、偏差値が控えめでも定員が埋まる理由の一つです。
難易度は学科によって明確に差があります。民間の受験情報サイトが集計する共通テスト得点率を目安にすると、情報科学部は7割台と学内で最も高く、医療系(保健医療学部)は6割前後、工学部の一部は4割台から取れる学科もあります。同じ大学名でも、情報科学部や診療放射線学科を狙うのと、工学部の一部学科を狙うのとでは、必要な準備量がまったく違うということです。
受験生への現実的なアドバイスとしては、大学名で「入りやすい・入りにくい」と一括りにせず、志望学科ごとにボーダーを確認することです。とくに医療系は倍率も上がりやすく、偏差値の数字以上に本番の得点勝負になります。
学費と奨学金(理系・医療系として平均的な水準)
初年度納付金(2025年度、Benesseマナビジョン掲載)は学科によって次のように異なります。
| 学部・学科 | 初年度納付金 |
|---|---|
| 工学部(全学科) | 1,662,300円 |
| 情報科学部 情報科学科 | 1,662,300円 |
| 薬学部 薬学科 | 1,812,300円 |
| 保健医療学部 看護学科 | 1,812,300円 |
| 保健医療学部 理学療法学科 | 1,712,300円 |
| 保健医療学部 臨床工学科 | 1,762,300円 |
| 保健医療学部 診療放射線学科 | 1,862,300円 |
| 未来デザイン学部 メディアデザイン学科 | 1,392,300円 |
初年度でおよそ139万円から186万円。文系の私大と比べれば高く見えますが、実験・実習の設備を要する理系・医療系の私立大学としては平均的な水準で、法外に高いわけではありません。
負担を下げる制度も用意されています。代表的なのが給付型のスカラーシップ制度で、一般選抜(前期)または共通テスト利用選抜(前期)の成績優秀者に対し、授業料をS=全額免除、A=半額免除、B=年額25万円免除の区分で減免します。返還義務がなく申し込みも不要で、2025年度は198人が採用されました(進級時に継続審査あり)。加えて、国の高等教育の修学支援新制度(授業料減免+給付型奨学金)や日本学生支援機構の奨学金、系列校卒業生・同窓生子女向けの入学金免除なども利用できます。学費は総額だけでなく、これらの減免を組み合わせた実質負担で判断するのが現実的です。
立地とキャンパス
キャンパスは北海道札幌市手稲区前田にあり、全学部が一つのキャンパスに集約されています。最寄りはJR手稲駅で、駅からはバスでアクセスします。札幌都市圏に位置し、JRを使えば札幌駅方面や近隣の市からも通える立地です。学部をまたいだ交流や施設の共同利用がしやすいのは、ワンキャンパスならではの利点です。
施設面では校舎のリニューアルが進み、医療系の実習機器やIT環境など、実学に必要な設備への投資が続いています。「やばい」という言葉の一部が、この新しくなった外観と旧イメージのギャップから来ていることは前述のとおりです。実際に通うことを考えるなら、口コミの印象より、オープンキャンパスで設備と通学動線を自分の目で確かめるのが確実です。
向いている人・合わない人
ここまでの一次データを踏まえて、私の受験指導の経験から、この大学が合う人と合いにくい人を整理します。
向いている人
- 薬剤師・看護師・理学療法士・臨床工学技士・診療放射線技師・建築士など、資格や専門職で手に職をつけたい人。国家試験の合格率と就職の出口が強い。
- 札幌圏を中心に道内で就職したい人。地元企業・医療機関とのつながりが厚い。
- 偏差値ブランドよりも、実験・実習で学び即戦力になりたい実学志向の人。
- 成績上位で入り、スカラーシップ制度の授業料免除を狙える人。
合いにくい人
- 全国的な学歴の看板や偏差値ブランドを最優先する人。とくに工学部の一部学科は偏差値が控えめで、学歴フィルターを気にする場面では不利になり得る。
- 研究者志向が強く、難関大学院や基礎研究の環境を第一に求める人。
- 文系総合大学的な幅広い学びや、都心の華やかなキャンパスライフを求める人。
結局のところ、合うかどうかは大学名の評判ではなく、志望学科の出口が自分の目標と一致するかで決まります。
まとめ:北海道科学大学はFランか
一次データで見た結論を、もう一度整理します。
- 偏差値:学科で35.0〜45.0(河合塾Kei-Net2027)。最も低い工学部の一部学科と薬学科は35.0で境界の下側だが、情報科学部は45.0で明確に非Fラン。
- 充足率:収容定員充足率103.0%(私学版大学ポートレート2025)。定員割れという典型的なFランの症状には当てはまらない。ただし充足=難易度ではない点は注意。
- 就職・資格:就職率98.8%(2025年度・公式)、国家試験は多くの学科で全国平均超え。出口は明確に強い。
これらを総合すると、北海道科学大学を大学まるごとFランと一括りにするのは不正確です。学科によって難易度の幅が大きく、最も低い学科は境界の下側にある一方、情報科学部は非Fラン、医療・薬・建築などの資格系は偏差値ではなく出口で高く評価できる。持ち上げすぎず貶めすぎずに言えば、これは偏差値ブランドの大学ではないが、資格と就職で結果を出す実学の私大です。判断は大学名の評判ではなく、自分が狙う学科の出口で下すのが正解です。当サイトは河合塾偏差値・充足率・就職の一次データに基づき、独自に中立の立場でそう判定します。
よくある質問
北海道科学大学はFランですか?
学科によって河合塾偏差値が35.0〜45.0と幅があり、一律にFランとは言えません。情報科学部は45.0で明確に非Fラン、工学部の一部学科と薬学科は35.0で境界の下側です。収容定員充足率は103.0%で定員割れもしておらず、就職率98.8%(2025年度)と出口も強いため、大学名だけでFランと断じるのは不正確です。
就職はできますか?
大学公式の就職データで、学部全体の就職率は2025年度98.8%、2024年度96.9%です。業種は医療・福祉、情報通信、建設が中心。就職先には北海道電力、北海道大学病院、アインホールディングス、メイテックフィルダーズなどが並びます。就職できないというイメージは、公式データとは合いません。
北海道科学大学は恥ずかしい大学ですか?
恥ずかしいかどうかは主観ですが、データ上は根拠が薄い評価です。国家試験は看護師96.7%、理学療法士97.8%、臨床工学技士82.7%など多くの学科で全国平均を上回り、就職も安定しています。就職できない典型的なFランには当てはまりません。
学費は高いですか?
初年度納付金はおよそ139万円から186万円で、文系私大より高く見えますが、実験・実習を伴う理系・医療系私大としては平均的な水準です。給付型のスカラーシップ制度(全額・半額・年25万円免除)や国の修学支援新制度で実質負担を下げられます。
公立化する可能性はありますか?
公立化のうわさは見かけますが、大学からの公式な公立化の発表や具体的な動きは現時点で確認できません。進学の判断で公立化を前提にするのは時期尚早です。私立の実学大学として学部再編を続けているのが実際の姿です。
どんな人に向いていますか?
薬剤師・看護師・理学療法士・臨床工学技士・診療放射線技師・建築士など、資格や専門職で手に職をつけたい人、札幌圏で就職したい人に向きます。一方で、全国的な学歴ブランドや偏差値の看板を最優先する人には物足りない可能性があります。