― 大学別データ判定 ―
第一薬科大学はFランで恥ずかしい?偏差値37.5・充足率76.0%の実像を暴く
森田涼が、噂ではなく河合塾の偏差値・大学公式の進路データ・収容定員充足率という一次データで検証する

この記事の目次
河合塾の偏差値で見る第一薬科大学のレベル
まず、感情や噂を挟まずに数字から入る。第一薬科大学は福岡県福岡市南区にある薬学と看護の私立単科大学で、設置者は学校法人都築学園だ。河合塾Kei-Net(2027年度入試向け)が公表している学科別の偏差値は次の通りで、いずれも合格可能性50%ラインを示す数値である。
| 学部 | 学科 | 河合塾偏差値 |
|---|---|---|
| 薬学部 | 薬学科 | 35.0 |
| 薬学部 | 漢方薬学科 | 37.5 |
| 薬学部 | 薬科学科(医療データサイエンス) | BF |
| 薬学部 | 薬科学科(コスメ&ヘルスケアマネジメント) | BF |
| 看護学部 | 看護学科 | BF |
出典:河合塾Kei-Net大学検索システム、スタディサプリ進路(河合塾提供)、旺文社パスナビ(河合塾第1回全統記述模試、更新日2026年7月1日)。
表のうちBFは「ボーダーフリー」の略で、河合塾が合格可能性50%のボーダーラインを引けない、つまり合否を偏差値で線引きできない水準を指す。河合塾は偏差値帯の下限を便宜上35.0として扱うため、実務上はBF〜35.0前後が最下層の目安になる。第一薬科大学では、薬科学科の二専攻と看護学科がBF、薬学科が35.0、漢方薬学科が37.5という配置だ。
私の判定基準に当てはめると、河合塾が難易度を出せないBF層は真性のFラン帯(判定S)、偏差値35前後で誰でも受かるに近い層は純Fラン帯(判定A、実質全入)にあたる。第一薬科大学は学科ごとにBFとA帯が混在しているため、大学全体としては当サイト独自の中立判定でA、実質全入と置いている。これはあくまで偏差値という一つの物差しの話で、資格や就職の評価は後の章で切り分ける。
ここが本題:収容定員充足率76.0%が示す二つの顔
偏差値は受験者側の学力分布を映す指標だが、大学側の集まり具合を映すのが収容定員充足率だ。これは在学者数を収容定員で割った比率で、100%を下回れば定員割れを意味する。第一薬科大学の充足率は76.0%(私学事業団の大学ポートレート私学版、2025年時点)。ここが本記事の独自の切り口になる。
この76.0%には、相反する二つの顔がある。
- 一つ目は、入りやすさと警戒の顔だ。定員の約4分の1が埋まっていないということは、選抜で人を落とす圧力が働きにくい。これが河合塾のBF表記を裏づけ、実質全入という判定に直結する。私立薬学部の多くが近年は定員割れ傾向にあり、第一薬科大学もその流れの中にある。
- 二つ目は、門戸と実学の顔だ。落とすための入試ではないということは、裏を返せば、偏差値で足切りされてきた人にも薬剤師や看護師という国家資格へ挑む入口が開かれているということでもある。単科大学ゆえに教育資源が薬学と看護に集中している点は、汎用学部の多い総合大学とは別の価値だ。
つまり充足率76.0%は、「人気がない」という一言でも「門戸が広い」という一言でも語り切れない。数字としては定員割れだが、それをどう読むかは目的次第だという中立の事実として押さえておきたい。世に出回る第一薬科大学の記事は偏差値と国試合格率の話に終始しがちだが、当サイトはこの充足率という一次データを判定の背骨に据えている。
「やばい・恥ずかしい」の噂を類型で検証する
検索すると「やばい」「恥ずかしい」「ひどい」といった言葉が並ぶ。ただ、私は個人を攻撃する書き込みや差別的な表現をそのまま転載するつもりはない。ここでは噂を類型に分け、確かめられる数字だけで検証する。
類型1:偏差値が低いから恥ずかしい。前章の通りBF〜37.5で、これは事実だ。ただし薬剤師や看護師の受験資格に直結する専門課程である点は、偏差値と切り離して評価すべきだ。
類型2:進級や卒業のハードルが高い。これは第一薬科大学に限らず、6年制薬学部と国家試験を持つ課程に共通する構造的な話だ。入口が広いぶん、途中で学力の壁に直面する学生が出やすいという指摘は理解できる。ただし出所の曖昧な退学率や順位といった匿名の数値は、ここでは扱わない。
類型3:国家試験合格率の見え方。ここは数字で丁寧に見たい。河合塾Kei-Netがまとめた第一薬科大学の薬剤師国家試験は、新卒合格率73.9%(46名受験34名合格)に対し、既卒を含む総数では35.2%(256名受験90名合格)と大きく開く。これは既卒(いわゆる国試浪人)の受験者数が多いと総数の合格率が下がるという、下位薬学部に共通の構造による。大学公式は年によって新卒合格率90.63%(第109回)を掲示した年もあり、新卒の数字は年ごとに変動する。看護師は新卒87.1%(70名中61名)、総数83.8%、保健師62.5%、助産師100%(3名中3名)だ。
類型4:施設や立地が古い。建物や設備への不満の声は一定数あるが、これは主観的な口コミの範囲であり、合否や資格取得の可否とは別の話として受け止めておけばよい。噂を数字に置き換えると、恥ずかしいかどうかではなく、入学後にやり切れるかどうかが本質だと分かる。
就職・進路は大学公式データで見る
就職の話は、まとめサイトの要約ではなく大学が自ら公表した一次データで見るのが筋だ。第一薬科大学の「卒業生の数・進路状況」(令和6年度卒業生、令和7年5月1日現在)は次の通り。
薬学部(6年制、卒業者104名)
| 進路区分 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 薬局 | 34 | 32.7% |
| 病院 | 24 | 23.1% |
| その他企業 | 3 | 2.9% |
| 公務員 | 1 | 1.0% |
| 大学院進学 | 1 | 1.0% |
| 未定 | 41 | 39.4% |
看護学部(卒業者62名)
| 進路区分 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 病院 | 55 | 88.7% |
| クリニック | 1 | 1.6% |
| 未定 | 6 | 9.7% |
正直に触れておくと、薬学部は未定が39.4%と高い。大学はこれを国家試験準備中などと注記しており、6年制薬学部で国試に届かず準備を続ける層が一定数いる構造を、大学自身が開示している格好だ。一方で看護学部は病院就職が88.7%と太く、資格取得から就職までの道筋が明快だ。
主な就職先(大学公式の就職実績)は、病院が福岡大学病院、鹿児島大学病院、聖マリア病院、唐津赤十字病院、自衛隊福岡病院など、薬局・ドラッグストアが株式会社アインホールディングス、株式会社サンドラッグ、ウエルシア薬局株式会社、株式会社クリエイトエス・ディーなど。大学院進学・企業では九州大学大学院、熊本大学大学院、福岡大学大学院、大塚製薬、武田薬品工業、日本イーライリリー、杏林製薬、佐賀県などが挙がる。求人自体は潤沢で、大学は令和6年3月卒業生への求人が378件・2,519人、学年定員に対し約15倍の求人倍率だったとしている。
第一薬科大学で学べることと学部の特色
第一薬科大学は薬学部と看護学部の二学部構成だ。学科と学べる内容を整理する。
- 薬学部 薬学科(6年制):薬剤師養成の中心。薬剤師国家試験受験資格に加え、甲種危険物取扱者受験資格、毒物劇物取扱責任者任用資格、放射線取扱主任者任用資格、公害防止管理者の無試験資格認定などが得られる。
- 薬学部 漢方薬学科(6年制):西日本で唯一の漢方薬学科をうたう。漢方と西洋薬の両面を学べる点が独自色だ。
- 薬学部 薬科学科(4年制):医療データサイエンスとコスメ&ヘルスケアマネジメントの二つの学びを持ち、薬剤師ではなく製薬・化粧品・食品・データ領域など医療周辺の進路を想定する。
- 看護学部 看護学科:看護師国家試験受験資格が基本。保健師課程(定員10名)と助産師課程(定員5名)は選抜制で、学部段階で助産師を育成できるのは福岡県で2校のみとされる。保健師課程修了者は養護教諭II種免許、第一種衛生管理者の申請資格にもつながる。
在学生の口コミには、1年次に高校の物理・化学・生物を復習する仕組みがあり授業についていきやすいという声もある(みんなの大学情報)。入口が広いぶん、入学後に基礎から積み直す設計になっているとみられる。単科大学の強みは、薬剤師・看護師という明確なゴールへ資源が集中している点だ。
入試方式と合格難易度
入試方式は一般選抜、大学入学共通テスト利用選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜が用意され、出願はWebのみだ(旺文社パスナビ、大学公式)。共通テスト利用の得点率はおおむね42%〜45%が目安とされる(スタディサプリ進路、河合塾提供)。
難易度はここまで見た通りBF〜37.5で、収容定員充足率76.0%という定員割れの状況も踏まえると、倍率が高騰して落とされるタイプの入試ではない。私の判定でも実質全入(A)に置いている。検定料は共通テスト利用選抜が12,000円、一般・推薦・総合型選抜などが30,000円だ(大学公式)。
ただし強調しておきたいのは、薬学部では入試より入学後が本番だという点だ。6年制の進級と薬剤師国家試験という二つの関門があり、入口の易しさと出口の難しさが大きく開く。前章で見た新卒73.9%・総数35.2%という国試の数字が、その出口の厳しさを物語っている。入りやすさだけを見て決めると、進級と国試のギャップに足をすくわれかねない。
学費と奨学金
私立薬学部は総じて学費が高い。第一薬科大学の初年度納入金の目安は次の通り(委託徴収金は別途必要)。
- 薬学部 薬学科・漢方薬学科(6年制):初年度約216万円(入学金30万円、授業料150万円、施設充実費16万円、教育充実費20万円)。出典:スタディサプリ進路。
- 薬学部 薬科学科(4年制):初年度約140万円(入学金・施設充実費・教育充実費含む)。出典:Benesseマナビジョン。
- 看護学部 看護学科:初年度約170万円(入学金20万円、授業料100万円、施設充実費20万円、教育充実費30万円)。出典:スタディサプリ進路・Benesseマナビジョン。
6年制薬学部は年数がかさむぶん、卒業までの総額は大きくなる。ここは進級のハードルと合わせて現実的に見積もっておきたい部分だ。
奨学金は、日本学生支援機構(JASSO)の貸与・給付の両方を扱い、第一薬科大学は高等教育の修学支援新制度の対象校だ。加えて地方自治体の奨学金、病院や薬局が独自に設ける企業奨学金制度がある。企業奨学金は薬剤師・看護師として働くことを前提とした制度で、大学は制度のある企業をリスト化し学生が閲覧できるようにしていると公表している。選考は書類だけでなく面談も行うとされる(大学公式)。具体的な金額や条件は年度で変わるため、最終確認は必ず募集要項で行ってほしい。
立地とキャンパス環境
キャンパスは福岡県福岡市南区玉川町22-1。第一薬科大学付属高等学校と隣接し、すぐそばに系列校の福岡第一高等学校がある。近隣には九州大学大橋キャンパス(芸術工学部)や純真学園大学などもあり、教育施設が集まる一帯だ。福岡市中心部に近く交通の便は良いとされ、薬剤師国家試験の試験会場になることもある(Wikipedia、都築学園グループ)。
設置者は学校法人都築学園で、日本薬科大学や横浜薬科大学(関連法人)とグループを形成している。大学の略称は一薬(いちやく)だ。施設や設備が古いという口コミは一定数あるが、これは主観的な評価であり、通学のしやすさや資格取得の可否とは切り分けて考えたい。福岡で薬学・看護を学びたい人にとって、都市部に近い立地は現実的な利点になる。地方から下宿して通うか、福岡圏から通学するかで、学費以外の生活コストも変わってくる点は事前に見ておきたい。
第一薬科大学が向く人・合わない人
ここまでの数字を踏まえ、向き不向きを整理する。特定の状況を決めつけず、目的別に置く。
向いている人
- 偏差値や大学の看板よりも、薬剤師・看護師という国家資格の取得を最優先に考える人。
- 九州・福岡で薬学や看護を学びたい人、漢方に関心がある人。
- 入口が広いぶん、入学後に自分で基礎から積み直し、進級と国家試験まで自走できる人。
慎重に考えたほうがよい人
- 就職やその後の評価で、大学のブランドや学歴フィルターを重視する人。
- 6年間の学費総額や、進級・国試のハードルを軽く見積もっている人。
- 周囲の環境に流されやすく、受け身で学ぶタイプの人。薬学は自走が前提になりやすい。
要は、偏差値の数字そのものより、入学後に手を動かし続けられるかどうかが分かれ目になる大学だと私は見ている。ここが曖昧なまま入口の易しさだけで決めると、後で費用と時間の両方を失いかねない。
まとめ:第一薬科大学はFランか
結論を繰り返す。河合塾偏差値BF〜37.5、収容定員充足率76.0%という数字の上では、当サイトの独自かつ中立の判定はA、実質全入だ。Fランという言葉を使うなら、そのラインには入る。
ただし、Fランの一語で切り捨てると見落とすものがある。薬剤師・看護師という国家資格に直結する単科の実学、西日本唯一を掲げる漢方薬学科、看護学部の病院就職88.7%という公式の進路データ、そして学年定員に対し約15倍という求人倍率だ。一方で、薬学部の進路未定39.4%、新卒と総数で開く国試合格率、6年制の学費総額といった現実も、同じ数字が示している。
偏差値という一枚の物差しではなく、充足率・国家試験・進路・学費という複数の一次データを並べて、自分の目的に照らして判断してほしい。噂ではなく数字で見れば、第一薬科大学は恥ずかしい大学でも万人向けの安全な大学でもなく、目的がはっきりしている人にとって使い道のある単科大学だ、というのが私の中立な結論だ。
よくある質問
第一薬科大学はFランですか。
河合塾偏差値はBF〜37.5、収容定員充足率は76.0%(私学事業団の大学ポートレート私学版)で定員割れです。数字の上では当サイトの独自かつ中立の判定でA、実質全入に該当します。ただし薬剤師・看護師の国家資格に直結する単科大学であり、偏差値だけでは測れない側面があります。
第一薬科大学の薬剤師国家試験の合格率はどれくらいですか。
河合塾Kei-Netのまとめでは新卒73.9%(46名中34名)、既卒を含む総数35.2%(256名中90名)です。既卒受験者が多いと総数は下がる構造で、大学公式は第109回で新卒90.63%を掲示した年もあります。新卒の数字は年ごとに変動します。
第一薬科大学の学費はいくらですか。
初年度納入金の目安は、薬学部薬学科・漢方薬学科(6年制)が約216万円、薬科学科(4年制)が約140万円、看護学部が約170万円で、いずれも委託徴収金は別途必要です。6年制は総額が大きくなります。最新額は必ず募集要項で確認してください。
第一薬科大学の就職先はどこですか。
大学公式の進路データでは、薬学部は薬局32.7%・病院23.1%、看護学部は病院88.7%です。主な就職先に福岡大学病院、聖マリア病院、アインホールディングス、サンドラッグ、大塚製薬、武田薬品工業などがあります。求人倍率は学年定員に対し約15倍とされています。
第一薬科大学で一番偏差値が低い学科はどこですか。
河合塾では薬科学科(医療データサイエンス、コスメ&ヘルスケアマネジメント)と看護学科がBF、薬学科が35.0、漢方薬学科が37.5です。BFはボーダーフリーの略で、河合塾が合格可能性50%のボーダーを引けない水準を指します。
第一薬科大学はどんな人に向いていますか。
偏差値や看板より薬剤師・看護師資格の取得を優先し、九州・福岡で学びたい人、漢方に関心がある人、入学後に自走して進級と国家試験まで努力を続けられる人に向きます。ブランド重視の人や受け身で流されやすい人には慎重な判断をおすすめします。
参考・出典
- 河合塾Kei-Net大学検索システム 第一薬科大学
- 河合塾Kei-Net 第一薬科大学 進学・就職実績(国家試験合格状況)
- スタディサプリ進路 第一薬科大学 偏差値・入試難易度(河合塾提供)
- 旺文社パスナビ 第一薬科大学 偏差値・共テ得点率
- 第一薬科大学 公式 卒業生の数・進路状況
- 第一薬科大学 公式 就職実績(主な就職先)
- 第一薬科大学 公式 目指せる職業・資格(求人倍率・国試合格率)
- 第一薬科大学 公式 学費等(入学検定料)
- 第一薬科大学 公式 奨学金について
- スタディサプリ進路 第一薬科大学 学費
- Benesseマナビジョン 第一薬科大学 学費・奨学金
- 大学ポートレート(私学版・日本私立学校振興・共済事業団) 収容定員充足率
- Wikipedia 第一薬科大学(沿革・立地)
- 都築学園グループ 第一薬科大学(学部学科・所在地)